電子レンジのマイクロ波がWi-Fiを遅くする仕組み
Wi-Fi通信では、ルーターから送られた電波を、スマートフォンやパソコンなどの端末が受信しています。受信側の端末は、届いた電波の中から必要なWi-Fi信号を見つけ、周囲の雑音と区別しなければなりません。
この区別のしやすさを表す代表的な指標が「SNR」です。SNRは「Signal-to-Noise Ratio」の略で、日本語では「信号対雑音比」と呼ばれます。簡単にいえば、必要なWi-Fi信号が、不要な雑音よりどの程度強いかを示す値です。
Wi-Fi信号が強く、周囲の雑音が少なければ、端末はデータを正しく読み取れます。ところが、電子レンジを動かして2.4GHz帯の雑音が増えると、Wi-Fi信号と雑音の差が小さくなります。
その結果、端末は必要な信号を判別しにくくなり、データの一部を正しく受信できなくなります。データを正常に受け取れなかった場合、Wi-Fi機器は同じデータを送り直さなければなりません。

この「再送」が増えると、同じ量のデータを届けるために、より長い時間が必要です。そのため、通信速度が低下し、操作に対する応答の遅れも大きくなります。
さらに、Wi-Fi機器は周囲の電波状況を確認し、ほかの通信が行われていると判断した場合には、送信を一時的に待つことがあります。この待ち時間が増えることも、通信が遅くなる原因です。
Wi-Fiマークが消えなくても通信は遅くなる
電子レンジによる干渉が起きても、スマートフォンやパソコンのWi-Fiマークが消えるとは限りません。端末とルーターの接続自体は維持されていても、内部では次のような処理が繰り返されていることがあります。
- 正しく届かなかったデータの再送
- 電波が空くまでの送信待ち
- 通信速度の自動的な引き下げ
- 一時的なデータの損失
- 接続先や周波数帯の切り替え
そのため、画面には「接続済み」と表示されているのに、ウェブページが開かなかったり、動画が止まったりする場合があります。
電子レンジによる干渉では、次のような症状が起こりやすくなります。
- 動画の画質が急に下がる
- 動画や音楽が途中で止まる
- ウェブページの表示が遅くなる
- オンライン会議の音声が途切れる
- 通話相手の声が遅れて聞こえる
- ライブ配信の映像が乱れる
- オンラインゲームの遅延が増える
- ゲームから一時的に切断される
- スマート家電が反応しなくなる
- ネットワークカメラの映像が止まる
特に影響を受けやすいのは、オンライン会議、音声通話、ライブ配信、オンラインゲームなどのリアルタイム通信です。これらの通信では、単純な通信速度だけでなく、わずかな遅延やデータの欠損も品質に大きく影響します。
