雷文には雨や豊かさの意味があるとされる
雷文には、雷や雨の力と関係する意味が込められていると説明されることがあります。
国立国会図書館のレファレンス協同データベースで紹介されている『こども文様ずかん』では、雷文は中国で3000年以上前から使われており、雷の力によって天の水があふれ、大地を潤すと考えられていたという趣旨の説明が掲載されています。
農作物を育てるためには、雨が欠かせません。雷は恐ろしい自然現象である一方、雨の到来を感じさせる現象でもあります。そのため、雷を表すとされる文様には、次のような意味が重ねられた可能性があります。
- 雨の恵み
- 大地の豊かさ
- 農作物の成長
- 自然の力
- 生命力
ただし、古代から現代まで、すべての雷文に同じ意味が込められていたとは限りません。
雷文は非常に長い期間にわたり、広い地域で使用されてきました。時代、地域、工芸品の種類、使用する人によって、文様の意味や受け止め方が異なっていた可能性があります。
古代の祭祀用青銅器に施された雷文と、現代のラーメン丼に印刷された雷文を、まったく同じ意味のものとして扱うこともできません。現代の食器では、伝統的な意味よりも、中華料理らしい雰囲気を表す装飾として採用されている場合が多いと考えられます。
「雷文は魔除けの模様」とは断定できない
ラーメン丼の四角い渦巻き模様について、魔除けの意味があると説明されることもあります。しかし、「雷文には必ず魔除けの意味がある」と断定するのは適切ではありません。
国立国会図書館のレファレンス協同データベースで紹介されている児童書の一つには、ラーメン丼の模様を「雷文」ではなく「八卦(はっけ)」と呼び、クモの巣を描いた魔除けの模様だとする説明があります。

このように、資料によって模様の名称や由来、意味が異なる場合があります。ラーメン丼に角ばった模様が描かれていても、すべてが同じ文様を表しているとは限りません。雷文によく似た別の幾何学文様や、複数の文様を組み合わせた図柄である可能性もあります。
また、模様が雷文であったとしても、食器の製造者や使用者が魔除けの意味を意識していたとは限りません。単に中華料理らしさを表すための装飾として採用されることもあります。
雷文は、雷、雨、自然の力、豊かさなどと関連づけて説明される文様です。一方で、その意味が一つに固定されているわけではなく、あらゆる雷文を魔除けの模様とする根拠も十分ではありません。
