チーズの穴は「細菌」が作っている!?【意外な理由で穴は減る】

みなさん、こんにちは!

アニメや絵本に登場する「穴だらけのチーズ」を、多くの人は一度は見たことがあるはずです。しかし、なぜチーズに穴が空くのか知っている人は意外と少ないかもしれません。

第21回雑学調査レポートでは、そんな「チーズ」に関する雑学をご紹介していきます。

早速見ていきましょう。

目次

穴だらけのチーズの正体

チーズと言われてパッと思い浮かぶ穴だらけのチーズは、主にスイスの「エメンタールチーズ」がモデルとなっています。

この穴は「チーズアイ(Cheese Eye)」と呼ばれており、単なる空気の泡などではありません。実は、穴は偶然にできたものではなく、チーズを発酵させる細菌が出すガスによって作られているのです。

エメンタールチーズでは、熟成中に「プロピオン酸菌」と呼ばれる細菌が働きます。この菌は、ほかの乳酸菌が作った乳酸を分解し、以下のような物質を生み出します。

  • プロピオン酸
  • 酢酸
  • 二酸化炭素

このうち、二酸化炭素がチーズ内部に閉じ込められることで、膨らんで空洞が形成されます。これがチーズの穴の正体なのです。

丸い穴になる理由

チーズに空いた穴がどれも丸い形をしているのも、偶然ではありません。

チーズの内部は多数のタンパク質が互いに結合・接触しながら複雑に絡み合って弾力があります。ガスはその中で均等に圧力がかかるため、物理的に最も安定した「球形」に近い空洞となるのです。

そのため、エメンタールチーズの穴は比較的きれいな円形になります。

ただし、「穴の大きさ」に関しては熟成温度で変わってきます。

エメンタールチーズは熟成途中で温度が変わり、低温熟成、高温熟成、再び低温熟成という工程を経ることで、プロピオン酸菌が活性化して大量の二酸化炭素を発生させます。

ここで温度が高すぎるとガスが大量に出てしまい、チーズが割れる、異常膨張する、味が崩れるなどの問題が起きます。

実は「穴が少ない」時代があった

2010年代、スイスで「昔のエメンタールチーズより穴が少ない」という現象が話題になりました。

研究の結果、その原因は意外にも「牛乳が清潔すぎること」だったのです。

昔ながらの搾乳では、牛舎のワラや牧草の微粒子が牛乳に少し混ざっていました。すると、その粒子を中心にガスが集まりやすくなり、穴が形成されていました。

しかし、近代的な搾乳設備では牛乳が非常に清潔になったことで、ワラ片や微細な粉塵がほとんど混入しなくなりました。

その結果、二酸化炭素が集まる”核”が減ってしまい、穴ができにくくなったのです。

ちなみに、穴が少ないからといって完全な失敗というわけではありません。ただし、伝統的なエメンタールチーズは穴の数や大きさ、分布が品質評価の重要なポイントとなっています。

穴が少なすぎると、発酵不足や熟成以上、微生物バランス異常などが疑われてしまいます。

一方で、穴が多すぎても過発酵で品質低下と判断されることもあるため、穴のバランスの調整は繊細だと言えるでしょう。

穴のないスイスチーズも多い

「スイスチーズ=穴」というイメージは誤解です。

たとえば、グリュイエールやラクレットといった多くのスイスチーズには大きな穴はありません。特にグリュイエールにいたっては、「穴があると欠陥」とされる場合すらあります。

つまり、「穴がある=高級チーズ」というわけでもないのです。

クリーミーで、ほのかなコクと甘みがあるグリュイエールチーズ。熱でよく溶けるため、チーズフォンデュやグラタンに最適とされている。

まとめ

  • 穴だらけのチーズのモデルは「エメンタールチーズ」
  • チーズの穴は「プロピオン酸菌」の働きによる二酸化炭素の膨張
  • チーズの穴が丸いのは、内部で均等にガスの圧力がかかるため
  • 牛乳が清潔すぎると穴の数が減る
  • 穴のないスイスチーズも多い

何気なく見ていたチーズの穴にも、実は微生物の働きや酪農技術の進化が関係していました。

しかも、「牛乳が清潔になりすぎたせいで穴が減った」という事実は、現代技術が伝統食品に与える影響の面白さを感じさせます。

普段食べている食品にも、知られざる科学や歴史が隠されているのかもしれませんね。

それでは次回の雑学調査レポートもお楽しみに!

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