スタミナは筋肉量で決まらない!?【持久力を左右するミトコンドリアの正体】

既存のミトコンドリアが大きくなることもある

健康な男性21人を対象に、6週間の持久力トレーニングを行った研究では、筋線維内に占めるミトコンドリアの体積の割合が増加しました。

この研究で注目されたのは、新しいミトコンドリアが大量に独立して作られたというよりも、主に既存のミトコンドリアが大きくなっていた点です。

この変化を発電所に例えると、「小さな発電所が次々と新設された」というより、「すでにある発電設備が拡張された」と表現できます。

ただし、すべての人に同じ変化が起こるとは限りません。ミトコンドリアの適応には、次のような条件が影響します。

  • 運動強度
  • 1回の運動時間
  • 週当たりの運動頻度
  • トレーニング期間
  • 過去の運動経験
  • 年齢
  • 健康状態
  • 遺伝的な特徴
  • 栄養状態
  • 筋肉を調べる方法

「ミトコンドリアが増えた」という研究結果を見るときは、何を測定したのかを確認する必要があります。

個数を数えたのか、体積を測ったのか、酵素活性やタンパク質量を調べたのか、あるいは酸素を使う能力を評価したのかによって、「増加」が意味する内容は異なります。

ミトコンドリアが適応すると同じ運動を楽に続けやすくなる

持久力トレーニングを続けると、筋肉は酸素を利用してATPを作る能力を高めていきます。

筋肉内のミトコンドリア量や呼吸能力が高まると、トレーニング前と同じ速度で走った場合でも、以前より余裕を持ってエネルギーを供給しやすくなります

同じ強度の運動を行っても、筋肉内部のエネルギー状態が乱れにくくなり、運動を続けるために必要な負担を抑えられる可能性があります。

簡単にいえば、以前と同じ仕事を、より無理なく処理できるようになるということです。

これが、トレーニングを続けた人が「以前はすぐに苦しくなった速度でも、長く走れるようになった」と感じる理由の一つです。

ただし、実際に運動を楽に感じるようになる理由は、ミトコンドリアの変化だけではありません。心拍数の変化、毛細血管の発達、運動フォームの改善、筋力の向上、動作への慣れなども関係します。

糖質と脂質の両方からATPを作る

長時間の運動では、筋肉は主に糖質と脂質を材料としてATPを作ります。

糖質は、筋肉内や肝臓にグリコーゲンとして蓄えられています。脂質は、主に体脂肪や筋肉内の脂肪として保存されています。

持久力トレーニングを行うと、エネルギー代謝に関係する酵素やタンパク質が変化し、糖質や脂質を利用する能力が高まります。

ただし、「脂質を使える体になれば糖質は必要ない」という意味ではありません。

一般的に、運動強度が高くなるほど、短時間でATPを供給しやすい糖質の重要性が高まります。長時間の運動であっても、速いペースで走る場合や坂道を登る場合には、筋肉内のグリコーゲンが重要です。

脂質は体内に多く蓄えられていますが、ATPを作るためには十分な酸素が必要です。また、同じ時間内に供給できるエネルギーの速さという点では、糖質が有利になる場面があります。

糖質と脂質がどの程度使われるかは、次の条件によって変わります。

  • 運動強度
  • 運動時間
  • 運動前の食事
  • 筋肉や肝臓のグリコーゲン量
  • 本人のトレーニング状態
  • 運動中の栄養補給
  • 直前までの運動内容

スタミナがある体は、一つの燃料だけを使う体ではありません。運動条件に応じて糖質と脂質を利用し、必要なATPを作り続けられる体です。

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