人間の骨は約10年かけて作り替えられている!?【使わない骨は弱くなりやすい】

みなさんは、自分の骨についてどれくらい知っているでしょうか。骨は体の奥にあるため、目で見ることはほとんどありません。そのため、身近な存在でありながら、知らないことが多い部分でもあります。

第71回雑学調査レポートでは、そんな「骨」に関する雑学をご紹介していきます。

骨はただの硬い棒ではない

骨というと、石や木のように硬くて動かないものを想像しやすいです。しかし、実際の骨は体の中で生きている組織です。骨の中では、古くなった部分を少しずつ壊し、新しい骨を作る作業が続いています。この作業を「骨のリモデリング」といいます。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、骨は絶えず吸収と形成を繰り返し、約10年をかけてすべて入れ替わると説明されています。つまり、今ある骨は、子どものころからずっと同じ材料のまま残っているわけではありません。見た目には変わっていないように見えても、中では少しずつ新しい骨に置き換わっているのです。

骨を壊す細胞と、骨を作る細胞がある

骨の作り替えには、主に2種類の細胞が関わっています。

1つ目は「破骨細胞(はこつさいぼう)」です。名前の通り、古くなった骨や傷んだ骨を分解する細胞です。骨を壊すというと悪い働きに聞こえますが、これは体に必要な作業です。古い建物を修理するとき、まず傷んだ部分を取り除くのと似ています。

2つ目は「骨芽細胞(こつがさいぼう)」です。こちらは新しい骨を作る細胞です。破骨細胞が古い骨を取り除いたあと、骨芽細胞がそこに新しい骨を作ります。『NCBI Bookshelf』でも、骨のリモデリングは、古い骨や傷んだ骨を取り除いたあと、新しい骨を置く過程だと説明されています。

この2つの細胞の働きがつり合っていると、骨は丈夫な状態を保ちやすくなります。反対に、骨を壊す働きのほうが強くなりすぎると、骨の量が減り、骨がもろくなります。これが骨粗鬆症(こつそしょうしょう)につながる大きな仕組みの一つです。e-ヘルスネットでも、骨吸収が骨形成を上回る状態が続くと骨量が減り、骨折しやすくなると説明されています。

骨が作り替えられる理由

骨が毎日少しずつ作り替えられているのは、体にとって大切な意味があります。

まず、骨の小さな傷を直すためです。歩いたり、走ったり、物を持ったりすると、骨には力がかかります。大きな骨折でなくても、骨には目に見えない小さな傷ができることがあります。リモデリングは、そうした部分を修理する仕組みです。

次に、骨の強さを保つためです。骨は、よく使われる部分では強くなりやすく、あまり使われない部分では弱くなりやすい性質があります。『NCBI Bookshelf』では、骨の成長、作り替え、修復には機械的な力、つまり体を動かしたときに骨へかかる力が重要だと説明されています。

たとえば、歩く、階段を上る、軽い筋力トレーニングをするなどの運動では、骨にほどよい刺激が加わります。骨はその刺激を受け取り、「この部分はもっと丈夫にしておいたほうがよい」と判断するように働きます。『Mayo Clinic』も、体重がかかる運動は脚、腰、背骨の骨に直接働き、骨の減少をゆるやかにする助けになると説明しています。

骨はカルシウムの倉庫でもある

骨は体を支える柱のような役割だけをしているわけではありません。骨にはカルシウムやリンなどのミネラルが多く含まれており、体にとっての「貯蔵庫」のような役割もあります。

カルシウムは骨を作る材料として有名ですが、筋肉を動かす、神経の信号を伝える、血液を固めるなど、体のさまざまな働きにも必要です。血液中のカルシウムの量は一定に保たれる必要があります。そのため、体は必要に応じて骨からカルシウムを取り出したり、骨に戻したりします。

『NCBI Bookshelf』では、骨のリモデリングは骨格の構造を守るだけでなく、体内のカルシウムやリンのバランスにも関わると説明されています。

つまり、骨はただ体を支えているだけではありません。骨は、体全体のミネラルのバランスを守るためにも働いています。

「骨が入れ替わる」とは、骨の形が全部消えるという意味ではない

「骨が約10年で入れ替わる」と聞くと、骨全体が一度になくなって、まったく新しい骨に作り直されるように感じるかもしれません。しかし、そういう意味ではありません。

実際には、骨の形を保ったまま、細かい場所ごとに少しずつ古い部分が取り除かれ、新しい骨に置き換わっていきます。家の形はそのままでも、古くなった柱や壁を少しずつ修理していくようなイメージです。

この仕組みがあるからこそ、骨は長い間使い続けても、ある程度の強さを保つことができます。もし骨が一度作られたまままったく修理されなければ、毎日の生活で受ける小さなダメージがたまり、だんだん弱くなってしまいます。

骨は使わないと弱くなりやすい

骨は力がかかることで丈夫さを保ちやすくなります。反対に、あまり使われないと、体は「この骨はそれほど強くなくてもよい」と判断する方向に働きます。

たとえば、長期間寝たきりになったり、宇宙のように重力の影響が小さい場所で生活したりすると、骨にかかる負荷が減ります。すると、骨を作るための刺激が少なくなり、骨量が減りやすくなります。

日常生活では、特別な運動をしなくても、歩く、立つ、階段を使う、荷物を持つといった動きが骨への刺激になります。もちろん、無理な運動はけがにつながるため、年齢や体調に合った方法を選ぶことが大切です。

骨の作り替えがうまくいかないと骨粗鬆症につながる

骨のリモデリングでは、古い骨を壊す働きと、新しい骨を作る働きのバランスが重要です。

若いころは、骨を作る働きがしっかりしているため、骨量を増やしやすい時期があります。しかし、年齢を重ねると、骨を作る力が弱くなったり、ホルモンの変化によって骨が減りやすくなったりします。

骨を壊す働きが強く、骨を作る働きが追いつかない状態が続くと、骨の中がスカスカになり、折れやすくなります。これが骨粗鬆症です。骨粗鬆症は、痛みなどの自覚症状がないまま進むこともあります。そのため、転んだときに骨折して初めて気づく場合もあります。

骨粗鬆症は高齢者だけの話ではありません。成長期に十分な栄養を取れなかったり、運動が不足したりすると、将来の骨の強さにも影響する可能性があります。骨は若いころからの生活の積み重ねで変わっていく組織なのです。

骨を作るには材料も必要

骨を作り替えるには、細胞の働きだけでなく、材料も必要です。代表的な材料がカルシウムです。また、カルシウムの吸収にはビタミンDが関わります。e-ヘルスネットでは、骨を形成するカルシウムやマグネシウムの不足、カルシウムの吸収に必要なビタミンDなどの不足が、骨粗鬆症の原因として挙げられています。

カルシウムは牛乳や乳製品、小魚、大豆製品、青菜などに含まれます。ビタミンDは魚やきのこ類などに含まれるほか、日光を浴びることで体内でも作られます。ただし、食事や日光の必要量は年齢や体調、生活環境によって変わります。病気がある人や薬を飲んでいる人は、自己判断でサプリメントを大量に摂るのではなく、医師や管理栄養士に相談することが大切です。

骨の中には「見張り役」のような細胞もいる

骨には、破骨細胞と骨芽細胞だけでなく、「骨細胞」という細胞もあります。骨細胞は骨の中に埋め込まれるように存在しています。この骨細胞は、骨にかかる力を感じ取る役割を持つと考えられています。

研究では、骨細胞は骨の機械的な刺激を感じ取る重要な細胞だとされています。つまり、骨はただ受け身で力に耐えているだけではありません。骨の中の細胞が、どこにどれくらい力がかかっているかを感じ取り、骨を作る細胞や骨を壊す細胞の働きに関わっているのです。

この仕組みを知ると、骨がとても精密な組織であることがわかります。骨は体を支えるだけの白いかたまりではなく、細胞同士が連絡を取り合いながら、強さや形を調整している生きた構造なのです。

まとめ

  • 骨は硬くて変わらないものではなく、体の中で生きている組織である
  • 骨は古い部分を壊し、新しい骨を作ることで少しずつ作り替えられている
  • 骨の作り替えは「骨のリモデリング」と呼ばれる
  • 骨は約10年をかけて全体が入れ替わるとされている
  • 古い骨を壊す「破骨細胞」と、新しい骨を作る「骨芽細胞」が働いている
  • 骨の作り替えは、小さな傷の修復や骨の強さを保つために必要である
  • 骨はカルシウムやリンをたくわえる貯蔵庫の役割も持っている
  • 骨に適度な負荷がかかると、骨の強さを保ちやすくなる
  • 運動不足や加齢などで骨を作る働きが弱まると、骨がもろくなりやすい

骨の作り替えは、年齢に関係なく体の中で続いています。だからこそ、運動や食事などの毎日の習慣は、骨にとって大切です。

骨を知ることは、自分の体を長く大切にするための第一歩にもなると言えるでしょう。

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