家庭料理からお祭りの屋台、カップ麺まで、さまざまな形で楽しまれている「焼きそば」。昔から親しまれている身近な料理ですが、知っているようで意外と知らないことも多いものです。
第165回雑学調査レポートでは、そんな「焼きそば」に関する雑学をご紹介していきます。
焼きそばの麺は何でできている?実は「そば」ではなく中華麺
お祭りの屋台や家庭の食卓でおなじみの焼きそば。名前に「そば」という言葉が入っているため、日本そばと同じ材料で作られていると思う人もいるかもしれません。
しかし、普段食べているソース焼きそばの麺には、一般的に「そば粉」が使われていません。
焼きそばに使われているのは、小麦粉を主な材料とした「中華麺」です。実は、ざるそばやかけそばよりも、ラーメンの麺に近いものなのです。
日本そばと中華麺では、使われる材料に大きな違いがあります。
日本そばは、そばの実を粉にした「そば粉」を使って作ります。そば粉だけで作る「十割そば」もあれば、そば粉に小麦粉を混ぜた「二八そば」などもあります。
一方、中華麺は小麦粉を主な材料として作られます。一般的には、そこに「かんすい」という材料を加えるのが特徴です。
かんすいはアルカリ性の材料で、中華麺に独特の弾力や風味を生み出す働きがあります。また、麺が黄色っぽくなることにも関係しています。
つまり、ラーメンと焼きそばは、見た目や食べ方こそ違いますが、麺の基本的な材料はよく似ているのです。

実際に、製麺業者の団体である『全国製麺協同組合連合会』も、中華麺がラーメンや焼きそば、冷やし中華などに使われていると説明しています。
また、麺の表示について定めた「生めん類の表示に関する公正競争規約」でも、「そば」と「中華めん」は別々の種類として扱われています。
一般的な焼きそばは、名前に「そば」と付いていても、日本そばとは異なる麺料理なのです。
焼きそばなのになぜ「そば」と呼ぶ?名前の由来は「中華そば」にあった
では、そば粉を使っていないのに、なぜ「焼きそば」という名前なのでしょうか。
その理由を知るヒントになるのが「中華そば」という言葉です。
昔ながらのラーメン店では、今でもメニューに「中華そば」と書かれていることがあります。
実は、「中華そば」はラーメンを指す呼び方の一つです。『レファレンス協同データベース』に掲載された福岡市総合図書館の調査事例でも、複数の辞典をもとに、中華そばとラーメンの関係が紹介されています。
ここで注目したいのは、中華そばにも一般的にはそば粉が使われていないことです。
日本では、中国風の麺料理にも「そば」という名前が使われてきました。そのため、「そば」という言葉が付いているからといって、必ずしもそば粉を使った料理とは限りません。
焼きそばの「そば」も、日本そばではなく、中華そばのような小麦粉で作られた麺を指していると考えると理解しやすいでしょう。
つまり、「中華そばのような麺を焼いて作る料理」が、焼きそばという名前の意味につながっていると考えられます。
ただし、「焼きそば」という名前を誰が最初に使い始めたのか、いつ全国に定着したのかについては、詳しい経緯がはっきりしていません。
名前の背景には、日本で中華麺が広まり、「そば」という呼び方が使われてきた歴史が関係していると考えられます。
ソース焼きそばは日本で生まれた?意外な誕生の歴史
現在、日本で焼きそばといえば、茶色いソースで味付けした料理を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、中華麺を炒める料理そのものは、日本で初めて考えられたものではありません。
焼きそばのルーツの一つとされるのが、中国の「炒麺」という料理です。「チャーメン」などと呼ばれ、麺を具材と一緒に炒めて作ります。
日本でおなじみのソース焼きそばは、こうした中国の麺料理に、日本独自の食文化が組み合わさって生まれたと考えられています。
『オタフクソース』が紹介する焼きそばの歴史によると、明治時代の終わりから大正時代の初めにかけて、東京の浅草周辺には中華麺を製造する店ができていました。
当時は、お好み焼きなどの鉄板料理も人気を集めており、ウスターソースを使った料理が親しまれるようになっていました。
そうした中で、中華麺を炒めた料理にウスターソースを合わせる方法が生まれたと考えられています。
ソース焼きそばは、大正時代の東京で、お好み焼きの仲間のような料理として登場したという見方があります。
その後、昭和に入ると焼きそばを提供する店が増え、戦後には各地へと広まっていきました。
現在では屋台料理としてだけでなく、家庭で手軽に作れる料理としても定着しています。
なお、ソース焼きそばの発祥については複数の説があり、細かな歴史には研究の余地が残されています。

焼きそばの麺は、なぜ最初から加熱されている?
スーパーで売られている焼きそば用の麺を見ると、袋から出して、そのままフライパンで炒められるものが多くあります。
ラーメンの生麺のように、たっぷりのお湯でゆでる必要がないのはなぜでしょうか。
実は、家庭向けの焼きそば用の麺には、工場であらかじめ加熱されたものが多く使われているためです。
代表的なのが「蒸し麺」です。
蒸し麺は、小麦粉などで作った麺を蒸気で加熱したものです。あらかじめ火が通っているため、家庭では具材と一緒に炒めて仕上げることができます。
『オタフクソース』によると、蒸し麺は全国的に手に入りやすい焼きそば用の麺で、ソースが絡みやすい特徴があります。
ただし、焼きそば用の麺がすべて蒸し麺というわけではありません。
一度ゆでた「ゆで麺」を使う地域もあり、専門店などでは生麺を調理することもあります。
同じ焼きそばでも、使う麺によって食感が変わるのです。
ちなみに、市販の焼きそば用の麺には、麺同士がくっつきにくくなるように油が使われているものもあります。
焼きそばを作るときに麺が比較的ほぐれやすいのには、こうした製造時の工夫も関係しています。
カップ焼きそばは「焼いていない」?名前と調理方法の不思議
焼きそばには、もう一つ意外な雑学があります。
それは、カップ焼きそばの多くが、食べるときに実際には麺を焼いていないことです。
一般的なカップ焼きそばは、容器にお湯を注ぎ、麺を戻してから湯切りをします。その後、ソースを混ぜれば完成です。
フライパンや鉄板で麺を炒める工程はありません。
それでも「焼きそば」と呼ばれているのは、ソース焼きそばの味や食べ方を再現した商品だからです。
この違いは、麺料理の名前が必ずしも調理工程をそのまま表しているわけではないことを示しています。
家庭で作る焼きそばとカップ焼きそばは調理方法こそ異なりますが、どちらもソースの風味を楽しめる身近な料理として親しまれています。
「そば粉なし」でも原材料の確認は大切
一般的なソース焼きそばにはそば粉が使われていませんが、すべての焼きそば商品にそば粉が含まれていないと判断できるわけではありません。
料理や商品によって使用する材料は異なるためです。
また、焼きそばの麺は小麦粉を主原料としていることが多く、小麦アレルギーのある人は特に注意が必要です。
『消費者庁』では、容器包装された加工食品について、そばや小麦などの特定原材料を含む場合に、その表示を義務付けています。
そのため、食品を購入するときは、商品名だけでなく、パッケージに書かれた「原材料名」や「アレルギー表示」を確認することが大切です。
普段何気なく食べている焼きそばですが、使われている麺の材料や名前の由来を知ると、日本の麺文化の意外な一面が見えてきます。
まとめ
- 一般的なソース焼きそばには、そば粉が使われていない
- 焼きそばの麺は、小麦粉を主原料とする中華麺で、ラーメンの麺に近い
- 「焼きそば」の「そば」は、日本そばではなく、中華そばのような麺を指す言葉に由来すると考えられる
- 日本のソース焼きそばは、中国の麺料理と日本独自の食文化が組み合わさって生まれたと考えられる
- 市販の焼きそば用の麺には、あらかじめ加熱された蒸し麺が多く使われている
- 一般的なカップ焼きそばは、実際には麺を焼かず、お湯で戻して調理する
- 焼きそばの原材料は商品によって異なるため、アレルギー表示の確認が重要
普段何気なく食べている焼きそばも、名前の由来や麺の特徴を知ると、少し違った見方ができるのではないでしょうか。
次に焼きそばを食べるときは、今回紹介した雑学を思い出してみてください。



