シャンプーは「泡」で汚れを落としているわけではない!?【2回目のほうが泡立つ理由】

お風呂に入るたび、何気なく使っているシャンプー。毎日の習慣になっているものの、その使い心地や変化について深く考える機会はあまりないかもしれません。

第137回雑学調査レポートでは、そんな「シャンプー」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

シャンプーはなぜ2回目のほうが泡立つ?皮脂が泡立ちを邪魔することがある

シャンプーを2回したとき、「1回目はあまり泡立たなかったのに、2回目は急によく泡立った」と感じることがあります。

この違いに関係しているものの一つが、髪や頭皮についている皮脂です。

皮脂は、頭皮から分泌される油分です。頭皮や髪を守る役割がありますが、量が多くなるとシャンプーの泡立ちに影響することがあります。

皮膚科領域のヘアケアに関する総説では、皮脂はシャンプーの泡の形成を妨げるため、皮脂などが多く付着した髪は、清潔な髪よりも泡立ちにくいと説明されています。

そのため、1回目のシャンプーでは泡立ちが弱くても、一度洗って皮脂などが減ると、2回目は泡立ちやすくなります

簡単にすると、次のような流れです。

1回目のシャンプーでは、髪や頭皮に皮脂などの油性汚れが多く残っています。シャンプーの洗浄成分は、まずそれらの汚れに使われます。そのため、泡が十分にできなかったり、できてもすぐに消えたりすることがあります。

一度すすぐと、皮脂などの一部は取り除かれます。

その状態で2回目のシャンプーをすると、泡立ちを邪魔する油性汚れが少なくなっているため、同じシャンプーでも泡が立ちやすくなるという仕組みです。

泡立ちに影響するのは皮脂だけではありません。

ワックス、ヘアオイル、ヘアクリームなどの油分を含むスタイリング剤が多くついている場合も、1回目の泡立ちが弱くなることがあります。

『花王株式会社 ヘアケアサイト』でも、皮脂量が多い場合やスタイリング剤をしっかり使っている場合には、2度洗いできちんと洗えるケースがあると案内しています。

シャンプーは「泡」で汚れを落としているわけではない

シャンプーを見ると、大量の泡が髪や頭皮をきれいにしているように感じるかもしれません。

しかし、実際に皮脂などの油性汚れを洗い流すうえで重要なのは、泡そのものではなく、シャンプーに含まれている「界面活性剤」と呼ばれる成分です。

皮脂は油なので、水やお湯だけでは簡単に洗い流せません。

たとえば、油がついた食器に水をかけても、それだけでは油がきれいに落ちにくいのと似ています。

水と油は、そのままではなじみにくいためです。

そこで役立つのが界面活性剤です。

界面活性剤には、水になじみやすい部分と、油になじみやすい部分があります。

油になじみやすい部分が皮脂などの油性汚れに集まり、水になじみやすい部分が外側を向くことで、油性汚れを水の中へ分散しやすくします。

『日本化粧品工業会』では、界面活性剤の一種である石けんを例に、この仕組みを説明しています。

シャンプーでも基本的な考え方は同じです。

界面活性剤が髪や頭皮についている皮脂などの油性汚れになじみ、水と一緒に流せる状態にします。そして、最後にお湯ですすぐことで汚れを取り除きます。

つまり、シャンプーは「泡が汚れを削り取るもの」というより、「界面活性剤が油性汚れを水で流しやすくするもの」と考えると分かりやすいでしょう。

泡が多いシャンプーほど洗浄力が強いとは限らない

シャンプーについてよくある疑問の一つが、「泡がたくさん出るシャンプーほど、よく汚れが落ちるのか」というものです。

泡の量と洗浄力は、同じものではありません

皮膚科領域のヘアケアに関する総説でも、泡立ちが悪いシャンプーは洗浄力も低いと思われやすいものの、泡立ちと洗浄そのものは分けて考える必要があると説明されています。

シャンプーにはさまざまな種類の界面活性剤が使われています。

それぞれ、汚れを落とす力、泡立ちやすさ、泡の持続性、使用感、皮膚への刺激などに違いがあります。

そのため、違うシャンプーを比較して、「AはBより泡立つから、Aのほうが洗浄力が強い」と単純に判断することはできません。

泡立ちがよいように成分が調整されている製品もあれば、比較的泡が少なくても洗浄できるように設計されている製品もあります。

一方、同じシャンプーを使い続けている場合は、泡立ち方の変化が洗髪時の一つの目安になることがあります。

たとえば、普段は十分に泡立つシャンプーなのに、ある日は泡がすぐ消えてしまう場合、いつもより皮脂やスタイリング剤などが多く付着している可能性があります。

『花王株式会社 ヘアケアサイト』でも、泡立ちや泡の持ち方は、油性汚れを洗うための洗浄力が残っているかを見る目安の一つとして紹介されています。

重要なのは、「製品同士を泡の量だけで比較すること」と、「同じシャンプーを使ったときの泡立ち方を見ること」は意味が違うという点です。

それではシャンプーの泡には何の役割がある?

泡そのものが皮脂を落とす中心的な成分ではありませんが、泡には洗髪を助ける大切な役割があります。

一つは、シャンプーを髪や頭皮の広い範囲へ行き渡らせやすくすることです。

シャンプー液をそのまま頭につけるだけでは、一部分に集中してしまうことがあります泡ができることでシャンプーを広げやすくなり、髪の間を通して頭皮にも届けやすくなります

もう一つは、髪同士の摩擦を減らすことです。

濡れた髪を強くこすり合わせると、髪同士が摩擦を起こします。泡が髪の間に入ることでクッションのように働き、洗っているときの摩擦を抑える役割があります。

『花王株式会社 ヘアケアサイト』でも、泡にはシャンプーを髪の間から頭皮へ広げやすくする働きや、髪同士の摩擦を抑える働きがあると説明されています。

つまり、泡は「汚れを直接落とす主役」というより、洗浄成分を広げ、髪を洗いやすくするためのサポート役と考えると理解しやすくなります。

1回目のシャンプーが泡立たないと「かなり汚れている」ということ?

いつもよりシャンプーが泡立たないと、「今日は頭皮がかなり汚れているのでは」と考えるかもしれません。

ただし、泡立ちだけから頭皮の汚れ具合を正確に判断することはできません。

泡立ちは、さまざまな条件によって変わるからです。

皮脂が多ければ泡立ちに影響しますし、ワックスやヘアオイルなどをたくさん使用している場合にも泡立ちにくくなることがあります。

さらに重要なのが、シャンプーをつける前の「濡らし方」です。

髪や頭皮に十分な水分がないと、シャンプーを広げにくくなり、泡立ちも悪く感じることがあります。

『花王株式会社 ヘアケアサイト』では、シャンプーをつける前に、髪をかき分けながら頭皮まで十分に濡らす方法を紹介しています。

特に髪が長い人や毛量が多い人では、髪の表面だけが濡れていて、頭皮付近まで十分にお湯が届いていないことがあります。

その状態でシャンプーをつけても、頭皮全体へ広げにくくなります。

シャンプー前には、髪の表面だけにお湯をかけるのではなく、指で髪を分けながら頭皮までしっかり濡らすことがポイントです。

そのため、「泡立たないイコール頭皮が非常に汚れている」と考えるのではなく、皮脂、スタイリング剤、水分量などを合わせて考える必要があります。

シャンプーの2度洗いは毎日したほうがよい?

2回目のシャンプーのほうが泡立つと、「最初から毎日2回洗ったほうがよいのでは」と思うかもしれません。

しかし、洗う回数だけを決めて毎日必ず2回シャンプーする必要はありません。

『花王株式会社 ヘアケアサイト』では、十分に泡立ち、シャンプーが頭皮まで行き渡っている場合には、1度洗いで十分と案内しています。

たとえば、最初のシャンプーから十分に泡が立ち、頭皮全体まで無理なくシャンプーを広げられているのであれば、2回洗うこと自体を目的にする必要はありません。

一方、皮脂が多い日や、ワックスなどのスタイリング剤をしっかり使った日には、1回目では泡立ちが弱くなることがあります。

その場合は一度すすぎ、あらためて少量のシャンプーを使うことで、2回目は頭皮まで行き渡らせやすくなります。

洗髪する頻度が低く、皮脂や汚れが多くたまっている場合にも、2度洗いが適しているケースがあります。

つまり、「毎日必ず1回」や「必ず2回」と固定するよりも、その日の髪や頭皮の状態に合わせて考えるほうが実用的です。

2度洗いするときは1回目と2回目の役割を考えると分かりやすい

2度洗いが必要な場合は、1回目と2回目をまったく同じように考える必要はありません。

皮脂やスタイリング剤などの油性成分が多い日は、1回目のシャンプーによって、それらをある程度取り除きます。

一度すすぐことで、髪や頭皮についていた油性成分が減ります。

その状態で2回目のシャンプーをすると、1回目より少ないシャンプーでも泡立ちやすくなり、頭皮へ広げやすくなることがあります。

1回目は油性汚れを減らし、2回目は頭皮全体へシャンプーを行き渡らせる、というイメージを持つと分かりやすいでしょう。

ただし、泡を増やすこと自体が洗髪の目的ではありません。

十分に泡立っているのに、さらに泡を増やすためだけにシャンプーを追加する必要はありません。

シャンプーでは「髪」だけでなく「頭皮」を洗うことも大切

「シャンプー」というと髪を洗うものという印象がありますが、洗髪では頭皮を洗うことも重要です。

頭皮には皮脂腺があり、皮脂が分泌されています。

『花王株式会社 ヘアケアサイト』では、洗髪の目的として、頭皮表面に広がった皮脂や、皮脂が変化してできた脂肪酸などを洗い流すことを挙げています。

そのため、髪の表面だけを大量の泡で包んでも、シャンプーが頭皮まで届いていなければ、十分に洗いにくくなります。

シャンプーをつけたら、指の腹を使いながら頭皮全体へ広げていきます。

爪を立てて強くこする必要はありません。

特に意識したいのが、耳の上、後頭部、頭頂部などです。

これらの場所は髪が重なりやすく、場所によってはシャンプーが届きにくくなることがあります。

『花王株式会社 ヘアケアサイト』でも、耳の上や後頭部、頭頂部などへシャンプーをつけ、指の腹を頭皮に当てながら全体へ広げる洗い方が紹介されています。

泡の量だけを見るのではなく、「頭皮全体までシャンプーが届いているか」を意識することが大切です。

シャンプー後の「すすぎ」までが洗髪

シャンプーを十分に泡立てて洗えば、それだけで洗髪が終わるわけではありません。

最後のすすぎも重要です。

シャンプーに含まれる界面活性剤は、皮脂などの油性汚れを水の中へ分散させ、流しやすい状態にします。

しかし、実際にそれらを頭皮や髪から取り除くためには、お湯ですすぐ必要があります。

『花王株式会社 ヘアケアサイト』では、洗浄成分がとらえた皮脂や脂肪酸などの油性成分も、十分にすすがなければシャンプーとともに頭皮や髪へ残る可能性があると説明されています。

洗っている時間だけでなく、すすぎにも意識を向けることが大切です。

髪の表面にお湯をかけるだけではなく、指で髪を分けながら頭皮へお湯を届けます。

泡やシャンプー特有のぬるつきが残っていないか確認しながら、頭皮全体を丁寧にすすぎます。

シャンプーでは「たくさん泡立てること」よりも、「洗浄成分を頭皮へ行き渡らせ、最後にしっかり洗い流すこと」のほうが重要です。

同じシャンプーなのに日によって泡立ちが変わる理由

毎日同じシャンプーを同じくらいの量使っていても、泡立ち方が変わることがあります。

これは不思議な現象ではありません。

頭皮や髪の状態は毎日同じではないためです。

たとえば、皮脂が比較的少ない日は、1回目から泡立ちやすくなることがあります。

反対に、汗をかいた日、皮脂が多い日、ワックスやヘアオイルを多く使用した日などは、1回目の泡が少なく感じられることがあります。

シャンプー前に髪や頭皮を十分に濡らしたかどうかによっても変わります。

そのため、同じシャンプーでも「昨日はすぐ泡立ったのに、今日はあまり泡立たない」ということは十分に起こります。

そして、一度洗って油性成分が減ると、2回目には泡立ちを邪魔するものが少なくなります

これが、「1回目はほとんど泡立たなかったのに、2回目は急にモコモコと泡立つ」という現象が起こる主な理由の一つです。

泡立ちは、普段は目で確認しにくい皮脂や油性成分と、シャンプーの洗浄成分との関係が分かりやすく現れる現象といえます。

ただし、泡の量だけで頭皮の清潔さやシャンプーの性能を判断するのではなく、頭皮まで十分に濡らせているか、シャンプーが全体へ届いているか、きちんとすすげているかまで合わせて考えることが大切です。

まとめ

  • 2回目のシャンプーが泡立ちやすいのは、1回目で皮脂などの油性汚れがある程度取り除かれるため
  • シャンプーで皮脂などの油性汚れを落とす中心的な役割を担うのは、泡ではなく界面活性剤
  • シャンプーの泡の量と洗浄力は同じものではなく、泡立つほど洗浄力が強いとは限らない
  • 泡には、シャンプーを髪や頭皮へ広げやすくしたり、髪同士の摩擦を抑えたりする役割がある
  • 泡立ちの悪さは皮脂だけでなく、スタイリング剤の量や髪・頭皮の濡らし方にも左右される
  • 1回目から十分に泡立ち、頭皮までシャンプーが行き渡っていれば、必ず2度洗いする必要はない
  • 洗髪では泡の量を増やすことより、シャンプーを頭皮全体へ行き渡らせることが重要
  • 皮脂などを取り除くには、シャンプーで洗うだけでなく最後に十分すすぐことも大切
  • 同じシャンプーでも、その日の皮脂やスタイリング剤などの状態によって泡立ち方は変化する

1回目と2回目で泡立ちが変わるのは、決して不思議なことではありません。

毎日使っているシャンプーだからこそ、こうした身近な変化の理由を知ると、いつものお風呂時間も少し興味深く感じられそうです。

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