シュークリームの「シュー」はキャベツだった!?【独特な形状はなぜできるのか】

定番スイーツとして幅広い世代に親しまれているシュークリーム。見慣れたお菓子ではありますが、名前の意味や形の理由まで知っている人は、それほど多くないかもしれません。

第133回雑学調査レポートでは、そんな「シュークリーム」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

シュークリームの「シュー」はフランス語で「キャベツ」

コンビニやスーパー、洋菓子店などでよく見かけるシュークリーム。「シュー」という言葉を聞くと、生地やクリームの名前だと思う人もいるかもしれません。

この「シュー」は、フランス語の「chou」に由来します。「chou」はフランス語で「キャベツ」を意味する言葉です。

フランス語辞典の『Larousse』でも、「chou」は野菜のキャベツを意味する言葉として掲載されています。一方で、お菓子について使う場合には、シュー生地を焼いて作る小さな菓子という意味もあります。

つまり、フランス語の「chou」には「キャベツ」と「シュー菓子」という二つの使われ方があるのです。

もちろん、シュークリームの中にキャベツが入っているわけではありません。「シュー」という名前が付いた理由は、材料ではなく焼き上がった生地の見た目にあります。

なぜキャベツ?丸く膨らんだシュー生地が由来

シュー生地をオーブンで焼くと、生地は大きく膨らみます。表面には細かな割れ目や凹凸ができ、なめらかなボールというより、少しゴツゴツした丸い形になります。

この形が、小さなキャベツに似ていることから「chou」と呼ばれるようになったとされています。

『Larousse』の学習者向け辞典でも、お菓子としての「chou」は、キャベツのように丸い、とても軽い焼き菓子として説明されています。

日本の『デジタル大辞泉』でも、シュークリームの「シュー」はフランス語でキャベツを意味し、形が似ていることに由来するとされています。また、『グリコ栄養食品』の食育コンテンツでも、シュークリームがキャベツに似た形をしていることから名前が付いたと紹介されています。

シュークリームをよく見ると、表面にはいくつものふくらみや割れ目があります。その姿をキャベツの葉が重なった形と比べると、なぜ「シュー」と呼ばれるようになったのかイメージしやすくなります。

「シュークリーム」はフランス語の「chou à la crème」が由来

日本で使われている「シュークリーム」という名前は、フランス語の「chou à la crème」に由来します。日本語では「シュー・ア・ラ・クレーム」と表記されることがあります。

「chou」はシュー菓子、「crème」はクリームを意味します。そのため、お菓子の名前としては「クリームを入れたシュー」という意味になります。

『コトバンク』に収録されている『デジタル大辞泉』でも、日本語の「シュークリーム」はフランス語の「chou à la crème」に由来すると説明されています。『グリコ栄養食品』でも同様の由来が紹介されています。

フランスで使われている名前がそのまま日本語になったのではなく、日本では「シュークリーム」という短い形になって広く定着したわけです。

シュークリームは英語では「cream puff」

日本では当たり前のように使われている「シュークリーム」ですが、英語では一般に「cream puff(クリーム パフ)」と呼ばれます。

『コトバンク』に収録されている『プログレッシブ和英中辞典』でも、「シュークリーム」に対応する英語として「cream puff」が掲載されています。

同じお菓子でも、フランス語では「chou à la crème」、日本語では「シュークリーム」、英語では「cream puff」と呼び方が変わるのです。

英語の「puff」には、ふくらみや、ふわっと膨らむ様子を表す意味があります。つまり、フランス語の「chou」はキャベツに似た見た目に注目した名前ですが、英語の「cream puff」は膨らんだ生地の特徴が分かりやすい名前といえます。

海外でシュークリームを探したい場合は、「cream puff」という名前を覚えておくと便利です。

シュー生地が大きく膨らむ理由は「蒸気」

シュークリームが小さなキャベツのような形になるのは、生地がオーブンの中で大きく膨らむためです。

一般的なシュー生地には、小麦粉、水、バター、卵などを使います。

パンでは酵母が作り出すガスを利用して生地を膨らませることがありますが、シュー生地では主に水分から生まれる「蒸気」の力を利用します。

シュー生地をオーブンに入れると、生地の中に含まれている水分が熱せられます。水分が蒸気へ変わると体積が大きくなり、その力で生地を内側から押し広げます

製菓について解説している『King Arthur Baking』でも、シュー生地はオーブンの熱によって水分が蒸気となり、その力で大きく膨らむと説明されています。

簡単にいえば、シュー生地の中で発生した蒸気が、生地を風船のように内側から押し広げているのです。

卵が膨らんだシューの形を支える

蒸気だけでなく、シュー生地に使われる卵も重要です。

生地がオーブンの中で膨らんでも、そのままでは形を保つことができません。そこで役立つのが、生地に含まれている卵などの成分です。

加熱されることで生地の構造が固まり、蒸気によって広げられた形を支えます。その結果、焼き上がったシューは大きく膨らんだ状態を保ちやすくなります。

さらに、蒸気によって生地が広げられるため、シューの内部には大きな空間ができます

シュークリームを半分に切ったとき、スポンジケーキのように中まで生地が詰まっておらず、大きな空洞があるのはこのためです。

この空間にカスタードクリームや生クリームなどを入れることで、シュークリームが完成します。

「生地の水分が蒸気になる」「蒸気が生地を内側から押す」「膨らんだ生地が焼き固まる」という順番で考えると、シュークリームの構造が分かりやすくなります。

シューの表面がゴツゴツしているのも名前につながっている

シュークリームを何個か並べて見ると、一つひとつの形が少しずつ違うことが分かります。

完全な球体になっているものは少なく、表面にはさまざまな凹凸や割れ目があります。

シュー生地は、オーブンの中で蒸気に押されながら短時間で大きく膨らみます。その過程で生地の表面がさまざまな方向へ伸びるため、独特の凹凸が生まれます。

『King Arthur Baking』でも、焼いたシュー生地は大きく膨らみ、表面に凹凸のある姿になることが説明されています。

この不規則で丸い形こそ、「chou」という名前につながった特徴です。

つるつるしたボールのような形よりも、少しいびつでゴツゴツしているからこそ、葉が重なったキャベツの姿を連想しやすくなります。

名前の由来を知ったあとにシュークリームを見ると、今まで単なる焼き色や割れ目に見えていた表面が、小さなキャベツのように見えるかもしれません。

シュー生地はフランス語で「pâte à choux」

シュークリームに使われる生地そのものは、フランス語で「pâte à choux(パート・ア・シュー)」と呼ばれます。

「pâte」は生地を表す言葉です。「choux」は「chou」の複数形になります。

『Larousse』では「pâte à choux」について、水とバターを加熱し、小麦粉を加えたあとに卵を混ぜて作る生地として説明しています。

日本語でいう「シュー生地」は、この「pâte à choux」に当たります。

そのため、「シュー」という言葉は完成したシュークリームだけを指しているのではありません。さまざまなお菓子に使われる生地そのものとも深い関係があります。

同じシュー生地からエクレアも作られる

シュー生地を使う代表的なお菓子は、シュークリームだけではありません。

よく知られているものの一つがエクレアです。

シュークリームでは生地を丸く絞って焼きますが、エクレアでは細長い形に絞ります。焼き上げたあとに中へクリームを入れ、表面にチョコレートなどをかけて仕上げるものが一般的です。

『King Arthur Baking』でも、「pâte à choux」を使う代表的なお菓子として、クリームパフやエクレアなどが紹介されています。

材料や基本的な膨らみ方は同じでも、生地を絞る形を変えることでまったく違う見た目のお菓子になります。

パリ・ブレストもシュー生地から作られる

シュー生地を使ったフランス菓子には、「パリ・ブレスト」もあります。

パリ・ブレストは、シュー生地を大きなリング状に絞って焼き、横から切ってクリームを挟んだお菓子です。

『Larousse』では、パリ・ブレストについて、リング状のシュー生地にプラリネクリームを入れた菓子として説明しています。

丸く小さく焼けばシュークリーム、細長く焼けばエクレア、大きなリング状に焼けばパリ・ブレストというように、同じシュー生地でも形によってさまざまなお菓子になります。

「シュー」という言葉は、一つのお菓子の名前というだけではなく、フランス菓子のさまざまな種類につながっている言葉なのです。

まとめ

  • シュークリームの「シュー」は、フランス語で「キャベツ」を意味する「chou」に由来する
  • 丸く膨らみ、表面に凹凸があるシュー生地が小さなキャベツに似ていることから「chou」と呼ばれるようになった
  • 「シュークリーム」という名前は、フランス語の「chou à la crème」に由来する
  • シュークリームは英語では一般に「cream puff」と呼ばれる
  • シュー生地は、主に生地に含まれる水分が蒸気になり、その力で内側から押し広げられることで膨らむ
  • 膨らんだシュー生地の内部には大きな空間ができ、そこへクリームを詰める
  • シュー生地はシュークリームだけでなく、エクレアやパリ・ブレストなどにも使われる

何気なく食べているシュークリームも、名前の由来や生地が膨らむ仕組みを知ると、少し違った見方ができるようになります。

次にシュークリームを手に取ったときは、丸く膨らんだ形や表面の凹凸にも注目してみてはいかがでしょうか。「シュー」という名前の由来を思い出すと、いつものお菓子が少し面白く見えてくるかもしれません。

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