パイナップルは100個以上の果実が合体したもの!?【表面の”目”に残る成長の痕跡】

パイナップルといえば、表面のゴツゴツとした独特な見た目が印象的です。あまりにも見慣れているため気にすることは少ないものの、よく見ると一定の形が規則的に並んでいることが分かります。

第113回雑学調査レポートでは、そんな「パイナップル」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

パイナップルの表面にある「目」はただの模様ではない

スーパーでパイナップルを見ると、表面に六角形のような模様がびっしり並んでいます。皮をむくときに取り除くことが多く、日本では一般に「目」と呼ばれている部分です。

きれいに並んでいるため、単なる皮の模様に見えるかもしれません。しかし、この「目」には、パイナップルがどのようにできたのかという秘密が隠れています。

リンゴやモモは、基本的に一つの花から一つの果実が育ちます。一方、パイナップルは多数の花からできる果実です。

表面にある一つひとつの「目」は、それぞれ別の花からできた小さな果実に対応しています。『University of Hawaiʻi at Mānoa』の資料でも、パイナップルの「eyes」は、それぞれの小果実「individual fruitlets」にあたるものとして説明されています。

つまり、私たちが普段「一個のパイナップル」として食べている部分は、最初から一つの果実として育ったものではありません。たくさんの小さな果実や、その周辺の組織がくっつきながら大きくなったものです。

表面の「目」は、その成長の跡が今も見えている部分だと考えると分かりやすいでしょう。

一つのパイナップルには100〜200個ほどの花がつく

パイナップルが実をつける前には、植物の中央から「花序(かじょ)」と呼ばれる花の集まりが伸びてきます。

そこに大きな花が一輪だけ咲くわけではありません。小さな花がたくさん集まり、ぎっしりと並んで咲きます。

『Royal Botanic Gardens, Kew』では、パイナップルの果実について、100〜200個の花から生じた果実が一つに融合してできると説明しています。

一つひとつの花はそれほど大きくなく、紫色や赤紫色などをしています。その周りには「苞(ほう)」と呼ばれる葉に似た部分もあります。

ただし、花の数が必ず100〜200個になるわけではありません。『University of Florida IFAS Extension』では、一つの花序につく花の数について、50個程度から200個を超える場合まであるとしています。

品種や育てられている環境などによって違いがあるため、「100〜200個ほど」という数字は、おおよその目安として見るのがよいでしょう。

さらに、これらの花は全部が同じ日に咲くわけでもありません。

『University of Florida IFAS Extension』によると、一般的には1日に1〜10個ほどの花が咲き、すべての花が咲き終わるまで20〜40日ほどかかります。

最初はたくさんの小さな花が集まった姿ですが、それぞれの花の部分が少しずつ成長し、やがて見慣れたパイナップルの形へと変わっていきます。

花からできた小さな果実が少しずつくっついていく

花が咲いたあとには、それぞれの花にある子房などが成長し、小さな果実になります。

普通の果物であれば、それぞれの果実が別々に成長することもあります。しかし、パイナップルでは隣り合っている小さな果実が成長するにつれて互いにくっつき、最終的に大きな一つのかたまりになります。

ただし、私たちが食べている部分は、小さな果実だけを集めたものではありません。

『University of Florida IFAS Extension』によると、パイナップルの果実には、花の子房からできた部分だけでなく、がくや苞の根元、中央の芯につながる組織なども含まれています。

そのため、「100〜200個の花がそのまま合体してパイナップルになる」と考えるよりも、「たくさんの花からできた小さな果実や周囲の組織が一体化して、一つのパイナップルになる」と考えるほうが実際の仕組みに近くなります。

見た目は一つの大きな果実ですが、中身を見ると、たくさんの花に由来する部分が集まって作られているのです。

パイナップルは「多花果」と呼ばれるタイプの果実

パイナップルのように、複数の花からできた果実が集まり、全体で一つの果実のようになるものは、英語で「multiple fruit」と呼ばれます。

日本語では、このような果実を説明するときに「多花果(たかか)」という言葉が使われます。

少し専門的な言葉ですが、意味はそれほど難しくありません。「たくさんの花からできた果実」と考えると理解しやすいでしょう。

福岡教育大学の植物形態学の資料でも、複数の花の雌しべから生じた果実がまとまったものを「多花果」として整理しています。

植物学では「複合果」「複果」「集合果」などの言葉が使われることもあり、資料によって分類や呼び方が異なる場合があります。

パイナップルの場合に大切なのは、一つの花から大きな果実ができるのではなく、花の集まり全体が一つの果実の形成に関わっていることです。

『Food and Agriculture Organization of the United Nations』でも、パイナップルの果実は一つの花だけから作られるのではなく、多数の花を持つ花序全体から発達すると説明されています。

六角形の「目」は小さな果実があった跡

パイナップルが成長すると、小さな果実同士はくっつき、全体として一つの大きな果実になります。

それでも、それぞれの小果実に由来する境目まで完全に消えてしまうわけではありません。

その痕跡が表面に残ったものが、パイナップル独特の六角形に近い「目」です。

『North Carolina State University Extension』では、パイナップルは100〜200個ほどの小さな果実が成長中に融合して作られ、成熟した果実の表面には、それぞれの小果実に由来する六角形の部分が見られると説明しています。

つまり、パイナップルの表面に「目」が100個以上並んでいたとしても、それは単なる飾りではありません。

一つひとつが、かつて花がつき、その花から小さな果実が成長した場所に対応しています。

パイナップルを丸ごと見る機会があれば、「目」の並び方にも注目してみると面白いでしょう。適当に散らばっているように見えて、実際には斜め方向へ規則正しく並んでいることが分かります。

普段は皮として捨ててしまう部分に、多数の花が一つの果実へ変化していった痕跡が残っているのです。

たくさん花が咲くのに種がほとんど見えないのはなぜ?

ここで気になるのが種です。

「100個以上も花があるなら、パイナップルの中にも大量の種が入っているのでは?」と思う人もいるでしょう。

ところが、スーパーで買ったパイナップルを切っても、リンゴの種やスイカの種のような目立つものは、ほとんど見つかりません。

『Royal Botanic Gardens, Kew』では、栽培されているパイナップルでは、通常は未発達な種の痕跡しか見られないと説明しています。

理由の一つが、パイナップルの受粉の仕組みです。

『University of Florida IFAS Extension』によると、パイナップルには「自家不和合性(じかふわごうせい)」と呼ばれる性質があります。

難しそうな言葉ですが、簡単にいえば、同じ品種の花粉では種ができにくい性質です。

商業的なパイナップル畑では、同じ品種や遺伝的によく似た株がまとまって育てられることが多いため、十分に発達した種が作られにくくなります。

一方、異なる品種が近くに植えられ、同じ時期に花を咲かせて受粉した場合には、種が入ったパイナップルができることもあります。

つまり、パイナップルに種を作る能力がないわけではありません。普段スーパーなどで販売されているパイナップルでは、食べていて気付くほどの種が作られることが少ないということです。

まとめ

  • パイナップルの表面にある「目」は、それぞれ別の花からできた小さな果実に対応している
  • パイナップルには一般に100〜200個ほどの花がつき、それぞれが果実形成に関わる
  • 多数の花からできた小さな果実や周囲の組織が融合し、一つのパイナップルになる
  • パイナップルは、複数の花に由来する果実がまとまった「多花果」の一種
  • 六角形に近い「目」は、小さな果実が融合したあとも表面に残った痕跡
  • 市販のパイナップルに種がほとんど見られないのは、自家不和合性などにより種ができにくいため

何気なく見ていたパイナップルの表面には、たくさんの花から果実が作られた痕跡が残っています。

次に丸ごとのパイナップルを見かけたときは、規則正しく並ぶ「目」にも注目してみてはいかがでしょうか。いつもの果物が、少し違って見えてくるかもしれません。

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