緑茶・紅茶・ウーロン茶は同じ植物!?【色も香りも味も違う理由とは】

緑茶と紅茶を見比べれば、「きっと使っている茶葉そのものが違うのだろう」と思う人も多いのではないでしょうか。さらにウーロン茶まで加えると、色も香りも味もバラバラです。しかし、お茶の違いは見た目から想像するほど単純ではありません。

第102回雑学調査レポートでは、そんな「お茶」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

緑茶も紅茶もウーロン茶も、もとは同じ「チャノキ」

緑茶は爽やかで、紅茶は華やかな香りがあり、ウーロン茶は香ばしいものが多いイメージがあります。色も味もかなり違うので、「それぞれ別の植物から作っているのでは?」と思うかもしれません。

しかし、緑茶・紅茶・ウーロン茶は、基本的にすべて同じ植物から作られています。

その植物が、ツバキ科の「チャノキ」です。学名は「Camellia sinensis(カメリア・シネンシス)」といいます。『農林水産省』でも、緑茶だけでなく紅茶やウーロン茶も、同じチャノキの葉から作られると紹介されています。

では、同じ葉なのに、なぜまったく違うお茶になるのでしょうか。

大きな違いは、葉を摘んだあとの「加工方法」にあります。特に重要なのが、茶葉をどのくらい酸化させるかです。

ただし、緑茶・紅茶・ウーロン茶が、いつもまったく同じ品種の葉から作られているわけではありません。チャノキには中国変種やアッサム変種があり、さらに数多くの品種があります。

日本茶でよく知られている「やぶきた」のように緑茶向けの品種もあれば、紅茶作りに適した品種もあります。そのため、実際には作りたいお茶に合わせて品種を選ぶことも珍しくありません。

「同じ品種から作る」というより、「同じチャノキという植物の仲間から作る」と考えると分かりやすいでしょう。

お茶の種類を分ける大きなポイントは「酸化」

緑茶・紅茶・ウーロン茶の違いを知るうえで欠かせないのが、お茶の世界でいう「発酵」です。

摘み取った茶葉をそのまま置いておくと、葉の中にある酵素の働きによって成分が酸化していきます。すると、葉の色や香り、味が少しずつ変化します。

お茶作りでは、この変化を一般的に「発酵」と呼んでいます。

ただし、ヨーグルトや納豆の発酵とは仕組みが違います。ヨーグルトや納豆では微生物の働きが重要ですが、紅茶やウーロン茶でいう発酵は、主に茶葉自身が持っている酵素による酸化反応です。

そのため、カジュアルに理解するなら「茶葉をどれくらい酸化させるか」と考えるのがおすすめです。

緑茶は酸化をほとんど進めず、ウーロン茶は途中まで進め、紅茶はしっかり進めます。この違いが、それぞれのお茶らしい色や香りにつながっています。

緑茶は酸化を早めにストップする

緑茶は「不発酵茶」と呼ばれるお茶です。

名前だけを見ると「まったく何も変化させないお茶」のようにも感じますが、ポイントは摘み取った葉を早い段階で加熱し、酸化を進める酵素の働きを止めることにあります。

日本の煎茶では、摘んだ茶葉を蒸気で蒸す方法が一般的です。これを「蒸熱(じょうねつ)」といいます。

蒸すことで酸化が進みにくくなり、茶葉の緑色や爽やかな風味が残りやすくなります。その後、茶葉を揉んだり乾燥させたりして、私たちが普段目にする緑茶へと仕上げます。

緑茶と聞くと、飲んだときのお茶も鮮やかな緑色だと思うかもしれません。しかし、実際の色は種類や淹れ方によってさまざまです。黄緑色に見えるものもあれば、黄色に近いものもあります。

大切なのは、「緑色の飲み物だから緑茶」なのではなく、酸化を早い段階で止めて作っている点です。

ウーロン茶は酸化を途中で止める

ウーロン茶は「半発酵茶」に分類されます。

緑茶よりも酸化を進めますが、一般的には紅茶ほど完全には進めません。

ウーロン茶作りでは、摘んだ葉をしおれさせる「萎凋(いちょう)」という工程を行います。その後、茶葉を揺らしたり、葉同士を触れ合わせたりしながら酸化を進めていきます。

ちょうどよい状態になったところで茶葉を加熱し、酸化を止めます。

つまり、緑茶が「かなり早めにストップ」、紅茶が「しっかり進める」なら、ウーロン茶はその中間に位置するイメージです。

ただし、ウーロン茶の酸化の程度は商品によってかなり違います。

緑茶に近い軽やかなウーロン茶もあれば、紅茶に近い濃厚なタイプもあります。花のような華やかな香りがするもの、すっきりしたもの、しっかり焙煎して香ばしく仕上げたものなど、味の幅がとても広いお茶です。

そのため、「ウーロン茶=茶色くて香ばしいお茶」とは限りません。

紅茶は酸化をしっかり進める

紅茶は「発酵茶」に分類されます。

ここでいう発酵も、主に茶葉に含まれている酵素による酸化です。

一般的な紅茶作りでは、まず摘んだ茶葉をしおれさせます。これが「萎凋」です。その後、茶葉を揉む「揉捻(じゅうねん)」という工程を行います。

茶葉を揉むと葉の細胞が壊れ、内部の成分が酸素と触れやすくなります。すると酸化が進み、もともと緑色だった葉の色や香りが大きく変わっていきます。

この変化によって、紅茶らしい華やかな香りや深い味わいが生まれます。

十分に酸化が進んだところで乾燥させ、酵素の働きを止めます。

つまり紅茶は、最初から茶色い葉を使っているわけではありません。もともとは緑色のチャノキの葉が、加工の途中で変化して紅茶らしい色になっているのです。

紅茶の赤い色にはカテキンの変化も関係している

緑茶と紅茶をカップに淹れて比べてみると、色の違いはかなりはっきりしています。

この色の変化には、茶葉に含まれている「カテキン」が関係しています。

カテキンはポリフェノールの一種で、お茶の渋みにも関係する成分です。

緑茶では、製造の早い段階で加熱して酵素の働きを止めるため、カテキンの酸化も進みにくくなります。

一方、ウーロン茶や紅茶では酸化する時間を取るため、カテキンなどの成分が次々と変化していきます。

その過程で生まれる代表的な成分が「テアフラビン類」や「テアルビジン類」です。これらの成分が、紅茶のオレンジ色や赤褐色の水色(すいしょく)に関係しています。

ちなみに、お茶の世界では、カップに注いだお茶の色のことを「水色」と書いて「すいしょく」と読みます。

紅茶が赤く見えるのは、単純に茶葉を強く焼いて茶色くしているからではありません。葉の中にある成分そのものが酸化によって変化していることが、大きな理由です。

同じ葉でも加工方法が違えば別のお茶になる

緑茶・ウーロン茶・紅茶の関係は、料理に例えると分かりやすくなります。

たとえば同じジャガイモでも、茹でればホクホクした食感になり、揚げればフライドポテトになり、つぶせばマッシュポテトになります。

原料は同じでも、調理方法が変われば、味や香り、食感は大きく変わります。

お茶もこれと少し似ています。

同じチャノキの葉でも、摘んだあとにすぐ加熱するのか、少し酸化させるのか、しっかり酸化させるのかによって、まったく違ったお茶になります。

ざっくり整理すると、緑茶は「酸化を早めに止めるお茶」、ウーロン茶は「酸化を途中で止めるお茶」、紅茶は「酸化をしっかり進めるお茶」です。

ただし、お茶の味が酸化だけで決まるわけではありません。

使うチャノキの品種や産地、気候、育て方、収穫する季節、葉の揉み方、乾燥方法なども味や香りに影響します。ウーロン茶では、仕上げの焙煎の強さによっても印象が大きく変わります。

同じ「紅茶」でも産地や品種によって味が違い、同じ「ウーロン茶」でも驚くほど香りが違うのは、このためです。

緑茶向けの茶葉から紅茶を作ることもできる

緑茶・紅茶・ウーロン茶の原料が基本的に同じチャノキなら、「普段は緑茶に使っている茶葉から紅茶を作れるの?」と思うかもしれません。

実際に作ることができます。

日本で育てた茶葉を国内で紅茶に加工したものは「国産紅茶」と呼ばれます。「和紅茶」や「地紅茶」と呼ばれることもあります。

『農林水産省』によると、緑茶の一番茶を収穫したあとに育った茶葉を使って紅茶を作る例もあります。

一方で、どの品種でも同じようにおいしい紅茶になるわけではありません。茶葉に含まれる成分や香りの特徴は品種によって違うため、紅茶に加工したときの仕上がりにも差が出ます。

そのため現在では、紅茶作りに向くように育成された品種も栽培されています。

つまり、「日本の茶畑で育った葉だから緑茶になる」というわけではありません

日本で育てたチャノキの葉でも、紅茶の製法で加工すれば紅茶になります。逆に言えば、何のお茶になるかは「どこで育ったか」だけではなく、「どの品種を使い、摘んだあとにどう加工したか」まで見ないと分からないのです。

『農林水産省』では、生の茶葉を使ったウーロン茶の作り方も紹介しています。同じチャノキの葉から緑茶、紅茶、ウーロン茶という異なるお茶を作れることが分かります。

スーパーやコンビニで並んでいる緑茶、紅茶、ウーロン茶は、見た目も香りもかなり違います。しかし、もとをたどれば同じチャノキの仲間なのです。

まとめ

  • 緑茶・紅茶・ウーロン茶は、基本的にすべて同じ「チャノキ」から作られる
  • 3つのお茶の大きな違いは、茶葉をどの程度酸化させるかにある
  • 緑茶は酸化を早い段階で止め、ウーロン茶は途中まで進め、紅茶は十分に進めて作る
  • お茶でいう「発酵」は、納豆やヨーグルトとは異なり、主に茶葉の酵素による酸化を指す
  • 紅茶の赤褐色には、カテキンが酸化して生まれるテアフラビン類やテアルビジン類が関係する
  • 同じチャノキでも、品種・産地・栽培方法・加工方法などによって味や香りは大きく変わる
  • 緑茶向けの茶葉から紅茶を作ることもでき、日本産の茶葉で作る「和紅茶」も存在する

いつも何気なく飲んでいる一杯も、茶葉がどのように加工されたのかを知ると、少し違って感じられるかもしれません。

緑茶、紅茶、ウーロン茶を飲み比べながら、それぞれの違いを確かめてみるのも楽しそうです。

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