ラーメン丼の渦巻きは、ただの飾りではない!?【3000年以上続く模様の正体】

雷文がラーメン丼に使われた正確な経緯は不明

雷文が古代中国の工芸品に使われていたことは、現存する青銅器などの実物や、辞書・百科事典の記述から確認できます。

一方、雷文がいつ、誰によって日本のラーメン丼に取り入れられたのかについては、広く認められた定説がありません

ねとらぼの記事では、東京のかっぱ橋道具街にある陶磁器専門店「小松屋」の話として、同店の先々代にあたる店主が、雷文を中華料理向けの食器に取り入れたと紹介されています。古くから中国で使われていた文様を採用し、食器の見た目から中国らしい雰囲気を伝えようとしたという見方です。

ただし、これは一つの店舗に伝わる話をもとにした情報です。日本全国で使われている雷文入りのラーメン丼が、すべて同じ人物や店舗を起点として広まったと確認されているわけではありません。

同じ時期に、複数の食器メーカーや販売店が、中国風の意匠として雷文を採用した可能性もあります。そのため、小松屋に伝わる話を、ラーメン丼における雷文の唯一の起源と断定することはできません。

ラーメン丼に雷文が定着したと考えられる理由

雷文がラーメン丼に取り入れられた正確な経緯は不明ですが、代表的な模様として定着した理由はいくつか考えられます。

中国らしい雰囲気を表現しやすい

日本でラーメンや中華料理が広がっていく過程では、料理の味だけでなく、店内装飾や食器の見た目によっても、中国らしさを伝える必要があったと考えられます。

雷文は、古代中国の青銅器や陶器などに使われてきた文様です。器の縁に雷文を描けば、料理が運ばれてきた瞬間に、中国文化を連想させる視覚的な印象を与えられます。

現在では、赤い雷文が描かれた白い丼そのものが、昔ながらのラーメン店を象徴する意匠の一つになっています。

丼の縁に配置しやすい

雷文は、同じ形を連続させる文様なので、円形の丼を一周するように配置できます。模様の大きさや間隔、繰り返す数を調整しやすく、器の内側にも外側にも描けます。

模様を帯状に配置すれば、器の中央部分を空けたまま、縁だけに装飾を加えることも可能です。スープや料理が入った状態でも模様の一部が見えやすく、食器の特徴を保てます。

龍や鳳凰などと組み合わせやすい

雷文は、器の縁を飾る枠としても使えます。

丼の中央や側面に龍、鳳凰、漢字、花などを描き、その周囲に雷文を配置すれば、異なる図柄を一つの器の中にまとめられます。幾何学的な雷文と、曲線の多い龍や鳳凰を組み合わせることで、全体に変化を付けることも可能です。

遠くからでも模様を認識しやすい

角ばった線を繰り返す雷文は、比較的単純で分かりやすい形をしています。細かな絵柄が見えにくい場所でも、帯状に連続する雷文は認識しやすく、中華料理用の器らしい印象を作れます。

印刷や絵付けの方法に合わせて線を太くしたり、模様を簡略化したりしやすいことも、食器の装飾に適した特徴です。

こうした条件が重なり、雷文はラーメン丼を代表する模様の一つとして定着した可能性があります。

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