競泳のロープはただの仕切りではない!?【0.01秒を左右する驚きの役割】

大きなレーンロープほど波を通しにくい可能性がある

ルンド大学の修士論文では、次の二種類のレーンロープを使い、波を弱める性能が比較されました。

  • 直径10センチメートルの標準モデル
  • 直径15センチメートルの大型モデル

実験では、波がレーンロープの反対側へ伝わる割合を表す「透過係数」が調べられています。

直径10センチメートルのモデルでは、透過係数が約51%でした。これに対し、直径15センチメートルのモデルでは約25%でした。

この実験条件では、大型モデルを使った場合、反対側へ伝わった波の割合が標準モデルのおよそ半分になっています。

直径が大きくなると、レーンロープが波に接する範囲も広がります。円盤やフロートの周囲で生じる渦や細かな水流が増え、大きな波が元の形を保ったまま通り抜けにくくなると考えられます。

ただし、比較された二つのモデルには、直径だけでなく、部品の形状や構造にも違いがありました。また、泳者の速度によっても結果が変化しています。

そのため、この実験だけを根拠に、直径を大きくすれば必ず同じ割合で性能が上がるとは断定できません。

レーンロープの大きさと波を弱める性能には一定の関係があると考えられますが、正確な仕組みを明らかにするには、形状や材質などの条件をそろえた追加実験が必要です。

レーンロープは強く張りすぎてもよくない

レーンロープは、強く張るほど波を防ぎやすくなるように思えます。

しかし、波を弱める性能だけを見ると、硬く固定することが必ず有利になるとは限りません。

ルンド大学の実験では、通常の柔らかい張り方と、張力を最大まで高めた硬い張り方が比較されました。

その結果、強く張った状態では、波を弱める性能が低下する傾向が確認されています。

適度に動けるレーンロープは、波を受けるとわずかに横方向へ動きます。この動きにも波のエネルギーの一部が使われるため、反対側へ進む波が弱くなると考えられます。

一方、張力を高くするとレーンロープが動きにくくなり、波のエネルギーを部品やロープの動きとして受け止められる範囲が小さくなる可能性があります。

ただし、この実験では、張力を正確な数値で測る機器が使われていません。「柔らかい状態」と「硬い状態」を比較した定性的な実験であり、張力を高くすると必ず性能が低下するとまでは言えません。

もちろん、レーンロープが緩すぎる状態にも問題があります。位置が安定しなくなり、レーンの幅や選手の安全性に影響するおそれがあるためです。

世界水泳連盟の2026年2月版競技規則では、レーンロープの張力を1キロニュートン以上、1.2キロニュートン以下に調整するよう定めています。

可能な限り強く張るのではなく、規則で定められた範囲に正しく調整することが重要です。

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