生まれたばかりの子牛は第四胃を主に使う
成牛では第一胃が最も大きな区画ですが、生まれたばかりの子牛では、胃の大きさや働きが異なります。
出生直後の子牛は、第一胃、第二胃、第三胃がまだ十分に発達していません。この時期に最も発達しており、消化器官としてよく働いているのは、乳を消化する第四胃です。
子牛が乳を吸うと、「食道溝」と呼ばれる筋肉性の構造が反射的に閉じます。
食道溝が管のような通り道を作ることで、乳は第一胃と第二胃を迂回します。その後、第三胃にある通路を経て、主に第四胃へ送られます。

乳が第一胃や第二胃に繰り返し流れ込むと、微生物によって発酵される可能性があります。発酵によって酸が作られると、第一胃内が強く酸性に傾き、炎症や消化不良などを起こすことがあります。
このように、食道溝が正常に閉じず、乳が第一胃や第二胃にたまる状態は、「ルーメン・ドリンキング」などと呼ばれます。
子牛が成長し、穀物や牧草などの固形飼料を食べ始めると、第一胃と第二胃に微生物の集団が形成されていきます。
微生物による発酵で揮発性脂肪酸が作られると、その刺激によって、第一胃の内側にある「乳頭」という吸収組織が発達します。
牛は、生まれた瞬間から成牛と同じように草を消化できるわけではありません。食生活の変化に合わせて胃が発達し、微生物による発酵環境が作られていくのです。
牛以外にも反芻する動物がいる
4つの区画からなる胃と反芻の仕組みは、牛だけに見られるものではありません。
ヒツジ、ヤギ、シカ、レイヨウ、キリンなども、代表的な反芻動物です。
これらの動物も、一度飲み込んだ食べ物を口へ戻してかみ直します。そして、胃の中に生息する微生物を利用し、植物繊維を発酵させて栄養を得ています。
一方で、植物を食べる動物がすべて同じ方法で消化しているわけではありません。
例えば、ウマは牛のような4区画の胃を持っていません。ウマの場合は、主に盲腸や結腸など、消化管の後方にある部分で植物繊維を発酵させます。
牛のように、消化管の前方で発酵させる動物は「前胃発酵型」と呼ばれます。これに対して、ウマのように腸管の後方で発酵させる動物は「後腸発酵型」と呼ばれます。
同じ草食動物でも、植物から栄養を取り出す仕組みには大きな違いがあります。
