第二胃「レティキュラム」は第一胃と一体になって働く
第二胃はレティキュラムと呼ばれ、日本語では網胃といいます。
第二胃の内側には、蜂の巣のような網目状の構造があります。そのため、「蜂巣胃」と呼ばれることもあります。
第一胃と第二胃の間は、完全な壁によって仕切られているわけではありません。内容物が自由に行き来するため、この2つをまとめて「ルーメン・レティキュラム」と呼ぶことがあります。
第一胃と第二胃は連携しながら、食べ物を混ぜたり、口へ戻したり、次の区画へ送ったりします。
十分に細かくなった食べ物や液体は、胃の運動によって第三胃へ進みます。一方、まだ大きな植物片は第一胃内に残るか、食べ物の塊として口へ戻されます。
第二胃が単独で食べ物を選別しているというよりも、第一胃と第二胃が一体となり、粒子の大きさや密度などに応じて内容物を移動させていると考える方が正確です。
牛が食べ物を口へ戻す「反芻」
牛が一度飲み込んだ食べ物を口へ戻し、再びかんで飲み込む行動を「反芻(はんすう)」といいます。
口へ戻された食べ物の塊は、「反芻塊(はんすうかい)」や「食い戻し」などと呼ばれます。
牛は草を食べるとき、最初から完全に細かくなるまでかみ続けるわけではありません。比較的短い時間で飲み込み、その後、落ち着いて休める状態になってから、食べ物を口へ戻してかみ直します。
反芻には、植物を細かく砕く働きがあります。
食べ物が細かくなると、その表面積が広がります。第一胃内の微生物が植物繊維に接触しやすくなり、発酵が進みやすくなるのです。
さらに、反芻によって食べ物に大量の唾液が混ざります。
牛の唾液には、炭酸水素塩など、第一胃内で作られる酸を中和する成分が含まれています。
微生物による発酵が進むと、揮発性脂肪酸などが作られます。唾液による調整が十分に行われなければ、第一胃内が過度に酸性へ傾く可能性があります。
第一胃内の環境を適切に保つことは、微生物が安定して活動するために欠かせません。
ミネソタ大学エクステンションの資料では、成牛が1日に分泌する唾液の量は約50~80米クォートと説明されています。リットルに換算すると、約47~76リットルです。
実際の唾液量は、飼料の種類や、牛がかむ時間によって変わります。
細かく粉砕された飼料を食べる場合よりも、繊維が長い牧草を食べる場合の方が、咀嚼や反芻にかかる時間が長くなります。その結果、唾液も多く分泌される傾向があります。
牛が休みながらゆっくりと口を動かしているのは、単なる癖ではありません。植物を細かくするとともに、第一胃内の環境を安定させるための重要な行動です。
