サファイアにはピンクやオレンジなどの色もある!?【サファイアは本来であれば○○色】

「サファイア」と聞くと、多くの人が美しく輝く青い宝石を思い浮かべるのではないでしょうか。古くから人々を魅了してきた宝石の一つですが、実は知れば知るほど意外な一面が見えてきます。

第154回雑学調査レポートでは、そんな「サファイア」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

サファイアにはピンク・黄色・緑・無色などさまざまな色がある

「サファイア」と聞くと、深く澄んだ青色の宝石を思い浮かべる人が多いでしょう。実際、ブルーサファイアは非常によく知られており、サファイアを代表する存在です。

しかし、サファイアには青以外にもさまざまな色があります。ピンク、黄色、オレンジ、緑、紫といった鮮やかな色だけでなく、灰色、黒、茶色、さらには無色透明のものまで存在します。

なぜ、これほど色が違う宝石がすべてサファイアと呼ばれるのでしょうか。

その理由は、宝石の名前が見た目の色だけで決められているわけではないためです。

宝石の研究や教育を行う『GIA』によると、サファイアとルビーは、どちらも「コランダム」という鉱物に分類されます。そのうち赤色のコランダムを「ルビー」と呼び、それ以外の色のコランダムには「サファイア」という名称が使われます。

つまり、青色のコランダムだけがサファイアなのではありません。ピンクでも黄色でも緑でも、コランダムという鉱物であり、ルビーに分類される赤色でなければサファイアと呼ばれるのです。

「サファイア=青い宝石」というイメージは間違いではありませんが、宝石学の世界で見ると、サファイアは非常にカラフルな宝石です。

サファイアとルビーは同じ「コランダム」という鉱物

青いサファイアと赤いルビーを並べると、まったく別の宝石のように見えます。しかし、鉱物として見ると両者は同じ仲間です。

サファイアとルビーは、どちらも「コランダム」と呼ばれる鉱物です。

コランダムの主成分は酸化アルミニウムで、化学式では「Al₂O₃」と表されます。つまり、サファイアもルビーも基本的な化学組成は同じです。

それでも色が大きく違うのは、結晶の中に含まれるごく少量の元素などが影響しているためです。

コランダムが自然の中で結晶になるとき、周囲にある別の元素がわずかに入り込むことがあります。この微量な成分によって光の吸収の仕方が変わり、青、赤、ピンク、黄色、緑、紫などの色が生まれます。

その中で、赤色のものには「ルビー」という特別な宝石名が付けられています。そして、それ以外の色のコランダムがサファイアです。

そのため、サファイアとルビーは「まったく別の鉱物」なのではなく、「同じコランダムを色などによって呼び分けた宝石」と考えると分かりやすいでしょう。

純粋なコランダムは実は無色

サファイアにさまざまな色がある理由を理解するうえで重要なのが、コランダムそのものの色です。

実は、不純物をほとんど含まない純粋なコランダムは無色です。

つまり、サファイアの代表的な青色は、コランダムそのものが最初から持っている色ではありません。

天然のコランダムが結晶になる過程では、ごく少量の別の元素などが結晶の中に取り込まれることがあります。こうした成分が光の一部を吸収することで、残った光が人間の目に届き、青やピンク、黄色などの色として見えるようになります。

たとえるなら、透明な土台にほんの少し別の成分が加わることで、光の通り方が変化して色が生まれるようなものです。

サファイアの豊富なカラーバリエーションは、このわずかな成分の違いによって生み出されています。

ブルーサファイアの青色には鉄とチタンが関係している

では、最もよく知られているブルーサファイアは、なぜ青く見えるのでしょうか。

『GIA』によると、一般的なブルーサファイアの青色には、主に鉄とチタンが関係しています。

コランダムの結晶内にある鉄とチタンが光と作用すると、特定の波長の光が吸収されます。その結果、人間の目には残った光が青色として見えるようになります。

興味深いのは、色を生み出すために大量の鉄やチタンが必要なわけではないことです。

『GIA』の資料では、鉄やチタンが百分の数パーセントほど存在する場合でも、サファイアの色に大きな影響を与えることが説明されています。

つまり、ブルーサファイアの美しい青色は、結晶の大部分を青い物質が占めているから生まれるわけではありません。

ほんのわずかな元素が光の吸収を変えることで、あの特徴的な青色が生まれているのです。

ピンクサファイアとルビーの色にはどちらもクロムが関係している

ピンクサファイアも人気の高いサファイアの一つです。淡い桜色に近いものから、鮮やかな濃いピンクまで幅広い色があります。

このピンク色を生み出す重要な元素が「クロム」です。

そして興味深いことに、ルビーの赤色にもクロムが深く関係しています。

『GIA』によると、コランダムの結晶内に取り込まれたクロムは、ピンクサファイアのピンク色やルビーの赤色を生み出します。

つまり、ピンクサファイアとルビーは、同じコランダムという鉱物であるだけではありません。色が生まれる仕組みについても非常によく似ています。

では、どこからがピンクサファイアで、どこからがルビーになるのでしょうか。

この境界は、クロムが何パーセント入っているかという単純な数値だけでは決められません。宝石として見たときに、どの程度「赤」と判断される色なのかが重要になります。

『GIA』では、赤色が優勢であるかどうかなどを考慮して、ルビーとピンクサファイアを区別しています。

さらに、宝石の取引では地域や市場によって色の判断に違いが生じる場合もあります。そのため、「この数値を超えたら必ずルビーになる」という世界共通の単純な基準があるわけではありません。

ジュエリーショップでは別々の宝石として販売されるルビーとピンクサファイアですが、鉱物として見ると非常に近い存在なのです。

青以外のサファイアは「ファンシーサファイア」と呼ばれる

ブルー以外の色を持つサファイアは、宝石業界で一般に「ファンシーサファイア」と呼ばれています。

代表的なものには、ピンクサファイア、イエローサファイア、オレンジサファイア、グリーンサファイア、パープルサファイア、バイオレットサファイアなどがあります。

単純に一色だけに見えるものばかりではありません。

たとえば、ピンクとオレンジの中間のような色や、青と緑の特徴をあわせ持った色なども存在します。

さらに、一つの石の中に複数の色が見える「パーティカラーサファイア」もあります。青と緑、黄色と青など、異なる色の部分が同じ宝石の中に現れるものです。

このように見ると、「サファイアのジュエリーは青しか選べない」ということはありません。

ピンクや黄色の明るい色を選んだり、落ち着いた緑色を選んだりと、好みや服装に合わせて幅広い色から選べます。

サファイアは一つの宝石名でありながら、非常に多くの色を楽しめる宝石なのです。

ピンクとオレンジが混ざった「パパラチアサファイア」もある

さまざまな色のサファイアの中でも、特に特徴的なものが「パパラチアサファイア」です。

『GIA』では、パパラチアサファイアをピンクとオレンジが混ざった非常に希少なサファイアとして紹介しています。

一般的には、明るめから中程度の「ピンキッシュオレンジ」や「オレンジピンク」と呼ばれる色合いが、パパラチアとされる色の目安です。

簡単にいえば、ピンクだけでもオレンジだけでもなく、その二つが混ざり合ったような色です。

「サーモンのような色」や「夕焼けのような色」と表現されることもあります。

パパラチアという名称は、蓮の花に関係する言葉に由来するとされています。『GIA』の資料でも、蓮の花やその色との関係が説明されています。

ただし、ピンクとオレンジが混ざって見えるサファイアなら、すべてパパラチアと呼ばれるわけではありません。

宝石業界ではパパラチアとして認められる色の範囲が考えられており、一般的なピンクサファイアやオレンジサファイアとは区別されます。

サファイアには青、黄色、ピンクといった分かりやすい色だけでなく、一言では表しにくい繊細な中間色もあることが分かります。

光によって色が変わって見える「カラーチェンジサファイア」もある

サファイアの中には、さらに不思議な性質を持つものがあります。

それが「カラーチェンジサファイア」です。

カラーチェンジサファイアは、当てる光の種類によって色が違って見えるサファイアです。

『GIA』によると、典型的なカラーチェンジサファイアでは、昼光に近い光の下ではブルーからバイオレットに見え、白熱灯の下ではバイオレットを帯びたパープルから赤みの強いパープルに見えることがあります。

分かりやすくすると、昼間や昼光に近い照明では青っぽく見えていた石が、別の照明の下では紫っぽく見えることがあるということです。

もちろん、サファイアそのものが別の物質に変化しているわけではありません。

光にはさまざまな波長が含まれており、昼光や白熱灯などでは、その割合が異なります。光源が変われば、サファイアに吸収される光と人間の目まで届く光の組み合わせも変化します。

その結果、同じ石でも違った色として感じられるのです。

カラーチェンジサファイアは、宝石そのものの色だけでなく、「どのような光の下で見るか」によっても表情が変わる特殊なサファイアです。

無色透明の「ホワイトサファイア」も存在する

サファイアには、色がほとんどないものもあります。

無色透明のサファイアは、宝飾業界で「ホワイトサファイア」と呼ばれることがあります。

一見すると「無色なのに、なぜサファイアなのだろう」と不思議に感じるかもしれません。

しかし、純粋なコランダムそのものは無色です。そのため、無色透明のサファイアが存在することは、鉱物の性質から考えると自然なことです。

『GIA』によると、無色のサファイアは、かつてダイヤモンドの模造石として広く使われた時期があります。現在でも、ジュエリーのアクセントとなる小さな石などに利用されることがあります。

ここでいう「模造石」は、ホワイトサファイア自体が偽物という意味ではありません。

ホワイトサファイアはコランダムからできた宝石です。その透明な見た目を利用し、ダイヤモンドの代わりとして使われることがあるという意味です。

ただし、ダイヤモンドとホワイトサファイアはまったく異なる鉱物です。光の反射や、光を虹色に分ける性質にも違いがあるため、実際に見たときの輝き方も異なります。

青いブルーサファイアも、透明なホワイトサファイアも、もとになる鉱物は同じコランダムです。

サファイアという名前は、単に「青い色」を表しているのではなく、その宝石がどのような鉱物からできているのかを表す名前でもあるのです。

まとめ

  • サファイアには青だけでなく、ピンク・黄色・緑・紫・無色など、さまざまな色がある
  • サファイアとルビーは、どちらも「コランダム」という同じ鉱物
  • 赤色のコランダムはルビー、それ以外の色のコランダムはサファイアと呼ばれる
  • 純粋なコランダムは無色で、微量元素などの影響によってさまざまな色が生まれる
  • ブルーサファイアの青色には、主に鉄とチタンが関係している
  • ピンクサファイアとルビーの色には、どちらもクロムが深く関係している
  • ブルー以外のサファイアは、一般に「ファンシーサファイア」と呼ばれる
  • ピンクとオレンジが混ざった希少な「パパラチアサファイア」も存在する
  • 光の種類によって色が変わって見える「カラーチェンジサファイア」もある
  • 無色透明の「ホワイトサファイア」も存在し、かつてはダイヤモンドの模造石としても使われていた

「サファイア」と聞いて最初に思い浮かべるのは、やはり美しい青色かもしれません。しかし、その名前の向こうには、青だけでは語りきれない奥深い世界が広がっています。

身近なイメージと実際の姿の違いを知ることも、宝石の面白さの一つといえるでしょう。

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