世界最大の砂漠は南極大陸!?【暑くて砂だらけの場所が砂漠とは限らない】

「砂漠」と聞くと、どこまでも砂が広がる暑い場所を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ところが、私たちが普段イメージしている砂漠と、実際の砂漠には少し違いがあります。

第147回雑学調査レポートでは、そんな「砂漠」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

砂漠は「暑くて砂だらけの場所」とは限らない

「砂漠」と聞くと、強い日差しが照りつけ、広い砂丘が続いている景色を想像する人は多いでしょう。北アフリカに広がるサハラ砂漠は、その代表的な存在です。

しかし、砂漠がすべて暑く、砂に覆われているわけではありません。

『National Geographic』によると、砂丘が占めるのは世界の砂漠の約10%です。砂漠には、砂だけでなく岩石や山が広がる場所、塩で覆われた場所、さらには氷で覆われた場所もあります。

そのため、「砂がたくさんある場所だから砂漠」という考え方では、砂漠を正しく説明できません。

砂漠を考えるときに重要になるのは、「その土地にどれくらい水分が供給されるのか」という点です。

砂漠を決める大きなポイントは「気温」ではなく「乾燥」

砂漠には、非常に暑い場所だけでなく、一年を通して寒い場所もあります。

『National Geographic』では、多くの専門家が、年間の降水量が25センチメートル以下の土地を砂漠とみなすと説明しています。ここでいう降水には、雨だけでなく雪なども含まれます。

つまり、砂漠かどうかを考えるとき、「気温が高いか」よりも「雨や雪によって水分がどの程度供給されるか」が重要になります。

もちろん、砂漠の定義には乾燥の程度や蒸発量などを考慮する方法もあり、「年間降水量25センチメートル以下」だけが唯一の基準というわけではありません。それでも、砂漠の特徴を簡単に理解する目安としては非常に分かりやすい基準です。

この考え方を知ると、砂漠のイメージは大きく変わります。

たとえば、氷と雪に覆われた南極も、降水量が非常に少ない乾燥地域です。そのため、南極には「極地砂漠」と呼ばれる環境が広がっています。

世界最大の砂漠はサハラ砂漠ではなく南極

暑さや砂の量ではなく、乾燥を基準として砂漠を考えると、世界最大の砂漠はサハラ砂漠ではありません。

『National Geographic』は、地球上で最大の砂漠を南極としており、その面積を約1,420万平方キロメートルとしています。

一方、サハラ砂漠は約940万平方キロメートルです。

面積を比べると、南極はサハラ砂漠のおよそ1.5倍あります。

見た目だけで考えると、少し不思議に感じるかもしれません。

サハラ砂漠には砂や岩が広がり、非常に高い気温になる地域があります。一方の南極は、ほぼ全面が雪と氷に覆われています。

まったく違う景色ですが、「降水が非常に少なく、乾燥している」という共通点があります。

そのため、暑い砂漠だけでなく寒い砂漠まで含めて比較すると、南極が世界最大の砂漠になります。

南極が砂漠とされるのは雨や雪が非常に少ないから

南極には巨大な氷床があります。

そのため、「これほど大量の氷があるのに、なぜ乾燥しているのか」と疑問に感じるかもしれません。

ここで重要なのが、「その場所に水が存在している量」と「現在降ってくる雨や雪の量」は別だということです。

南極には大量の水が氷として存在しています。しかし、空から新しく供給される水分は非常に少なくなっています。

『British Antarctic Survey』によると、南極全体で降る雪を水の量に換算すると、年間約150ミリメートルの降水量に相当します。同機関は南極を「砂漠」と説明しています。

さらに南極の中でも、降水量には大きな地域差があります。

南極の内陸に広がる標高の高い地域では、年間の降水量が水に換算して50ミリメートル未満になる場所があります。一方、海に近い地域では内陸部より多くの雪が降ります。

『Australian Antarctic Program』も、南極を地球上で最も乾燥した大陸と説明しています。特に内陸の南極高原では、降ってくる水分の量が世界の暑い砂漠と同程度しかありません。

つまり、南極は「氷が少ないから乾燥している」のではありません。

「現在降ってくる雨や雪が非常に少ないため、乾燥した地域に分類される」と考えると分かりやすくなります。

大量の氷があっても「乾燥している」といえる理由

南極には地球上でも最大規模の氷が存在します。

『British Antarctic Survey』によると、南極の氷床には世界の地表に存在する淡水のおよそ90%が含まれています。

ここで、「大量の水があるのだから乾燥しているとはいえないのでは」と感じるかもしれません。

しかし、その水のほとんどは液体ではなく、氷として長期間固定されています。

乾燥した環境かどうかを考える場合には、すでに地面に存在している氷の量ではなく、大気から雨や雪としてどのくらい水分が供給されるのかが重要になります。

たとえば、巨大な冷凍庫の中に大量の氷を長期間保存していても、毎日大量の水が新しく入ってきているとは限りません。

南極も似ています。

非常に大量の水が氷として蓄えられている一方で、新しく降ってくる雪の量は少ないため、「大量の氷があること」と「乾燥していること」が同時に成り立ちます。

雪が少ないのになぜ南極には巨大な氷床があるのか

年間の降水量が少ないのであれば、今度は「なぜ南極にはこれほど巨大な氷床ができたのか」という疑問が出てきます。

理由の一つは、南極が非常に寒く、降った雪が融けにくいことです。

一度に降る雪が少なくても、その雪が毎年融けずに残れば、長い時間をかけて少しずつ積み重なっていきます。

『Australian Antarctic Program』によると、南極の氷床は雪から作られています。降った雪が数十万年という長い期間にわたって積み重なり、その重さによって圧縮され、氷へと変化してきました。

上から新しい雪が積もると、下にある古い雪には大きな圧力がかかります。

雪は少しずつ押し固められ、内部の空気が減り、密度の高い氷へと変化していきます。こうした過程が非常に長い時間続くことで、厚い氷床が形成されます。

南極では、この氷が場所によって4キロメートルを超える厚さになります。

そのため、現在の巨大な氷床は「今、大量の雪が降っている結果」ではありません。

少量ずつ降った雪が融けず、非常に長い年月をかけて蓄積してきた結果です。

南極の氷は止まったままではない

南極の氷床は、巨大な氷の塊がその場所に完全に固定されているわけでもありません。

雪が積もって氷床が厚くなると、氷は自らの重さによって少しずつ大陸の中央部から海岸方向へ流れていきます。

海まで到達した氷の一部は海上へ張り出し、「棚氷(たなごおり)」と呼ばれる巨大な氷を形成します。さらに棚氷の先端が割れると、氷山となって海へ流れ出します。

つまり南極の氷床では、雪が積もって氷になる一方で、氷が海へ移動したり融けたりする動きも続いています。

巨大な氷床は、長い時間をかけた雪の蓄積と氷の移動によって形成されているのです。

サハラ砂漠は「世界最大の暑い砂漠」

南極が世界最大の砂漠であれば、「サハラ砂漠は世界最大の砂漠」という説明は間違っているように見えるかもしれません。

しかし、「暑い砂漠」という条件を付けると、サハラ砂漠が世界最大です。

『National Geographic』は、約940万平方キロメートルのサハラ砂漠を「世界最大の暑い砂漠」としています。

そのため、「世界最大の砂漠」と「世界最大の暑い砂漠」は区別する必要があります。

すべての砂漠を対象にすると世界最大は南極です。

暑い砂漠だけを対象にすると世界最大はサハラ砂漠になります。

サハラ砂漠が「世界最大の砂漠」と思われやすいのは、「砂漠とは暑くて砂が多い場所」という一般的なイメージに非常によく当てはまるためです。

しかし、実際には寒い地域にも砂漠があります。

南極とサハラは気温がまったく違っても同じ「砂漠」

南極とサハラ砂漠では、気温が大きく異なります。

『National Geographic』によると、暑い砂漠では日中の気温が54℃ほどまで上昇する場合があります。サハラ砂漠についても、日中に50℃前後まで上がることがあると説明されています。

一方、南極は地球上で最も寒い大陸です。

『Australian Antarctic Program』によると、南極沿岸の年間平均気温はおよそマイナス10℃で、標高の高い内陸部ではおよそマイナス60℃になります。

南極にあるボストーク基地では、1983年7月21日にマイナス89.2℃が観測されました。これは地上の気象観測所で直接測定された非常に低い気温の記録として知られています。

このように、サハラ砂漠と南極では気温も景色も大きく異なります。

それでも、「大気から供給される水分が非常に少ない乾燥地域」という点では共通しています。

「砂漠」という言葉を「暑くて砂だらけの場所」ではなく、「非常に乾燥した場所」と考えると、氷に覆われた南極が世界最大の砂漠とされる理由を理解しやすくなります。

まとめ

  • 砂漠を考えるうえで重要なのは「砂の多さ」ではなく、その土地がどれほど乾燥しているかという点
  • 世界最大の砂漠はサハラ砂漠ではなく、面積約1,420万平方キロメートルの南極
  • 南極が砂漠とされるのは、巨大な氷床があっても現在の雨や雪による水分供給が非常に少ないため
  • 南極の巨大な氷床は、少量ずつ降った雪が融けずに長い年月をかけて積み重なって形成されたもの
  • サハラ砂漠は世界最大の砂漠ではなく「世界最大の暑い砂漠」
  • 南極とサハラは気温や景色が大きく異なる一方、どちらも降水量が少なく乾燥しているため砂漠に分類される

「砂漠=暑くて砂が広がる場所」というイメージを持っていた人にとって、南極が世界最大の砂漠という事実は意外だったのではないでしょうか。

普段よく知っているつもりの言葉でも、意味を詳しく調べてみると、思いがけない発見が隠れているものです。

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