「OK」は、世界中の多くの人に通じる非常に有名な言葉です。英語をほとんど話せなくても、「OK」だけは使ったことがあるという人も多いでしょう。それほど広く定着した言葉にもかかわらず、その始まりはあまり知られていません。
第100回雑学調査レポートでは、そんな「英語」に関する雑学をご紹介していきます。
「OK」は“all correct”をわざと間違えた言葉から生まれた
「OK」は、英語が苦手な人でも知っているほど身近な言葉です。
「いいよ」「大丈夫」「了解」といった意味で、日本でも普段の会話やメッセージでよく使われています。
そんな「OK」ですが、実はかなり変わった生まれ方をしています。
現在、もっとも有力とされている語源は、“all correct”をわざと間違えて書いた“oll korrect”です。
“all correct”は「すべて正しい」「問題なし」といった意味ですが、本来なら“all”はA、“correct”はCから始まります。そのため、普通に頭文字を取れば「A.C.」になりそうです。
しかし、19世紀のアメリカでは、言葉をわざと変なスペルで書く遊びが流行していました。
そこで、
all correct → oll korrect → O.K.
という略し方が生まれたと考えられています。

つまり、「OK」の「O」は“all”ではなく“oll”のO、「K」は“correct”ではなく“korrect”のKです。
今では世界中で普通に使われている「OK」ですが、始まりはちょっとした言葉遊びだったわけです。
「OK」が新聞に登場したのは1839年
「OK」がかなり古くから使われていたことも分かっています。
現在知られている重要な使用例は、1839年3月23日付のアメリカの新聞『Boston Morning Post』に掲載されたものです。
この新聞では「O.K.」が登場し、“oll korrect”の略語として使われていました。
「OK」の歴史を詳しく調べた人物として知られているのが、アメリカの研究者アレン・ウォーカー・リードです。リードは古い新聞を調べ、「OK」がどのように登場し、広がっていったのかを研究しました。
『Merriam-Webster』でも、「OK」が使われ始めた年として1839年が示されています。
普段、SNSやメッセージで何気なく「OK」と送っている人も多いでしょう。
しかし、その2文字に近い表現が、すでに180年以上前の新聞で使われていたことになります。
19世紀には「わざとスペルを間違える」のが流行していた
では、なぜ“all correct”をわざわざ“oll korrect”と書いたのでしょうか。
理由は、当時のアメリカで流行していた言葉遊びにあります。
1830年代後半のボストン周辺では、正しい言葉をあえて間違ったスペルに変え、さらに頭文字だけにする表現が新聞などで使われていました。
たとえば『Merriam-Webster』では、“all right”をわざと“oll wright”と書き、「O.W.」と略した例が紹介されています。
ほかにも、“no go”を“know go”と変えて、「K.G.」とするような表現がありました。
今の感覚で考えるなら、ネット上で言葉をわざと崩して書いたり、仲間内だけで通じる略語を作ったりする感覚に近いかもしれません。
当時生まれた略語の多くは、その後使われなくなりました。
ところが「O.K.」だけは長く残り、世界中に広がっていきます。
何気ない言葉遊びから生まれた言葉が、200年近く使われ続けているのはかなり珍しい例といえます。
「OK」が有名になった背景には大統領選挙もあった
「OK」がさらに広く知られるきっかけの一つになったのが、1840年のアメリカ大統領選挙です。
当時の大統領だったマーティン・ヴァン・ビューレンは、再選を目指して選挙活動をしていました。
ヴァン・ビューレンは、ニューヨーク州のキンダーフックという町の出身です。
そのため、彼は“Old Kinderhook”という呼び名でも知られていました。
この頭文字を取ると、
Old Kinderhook → O.K.
となります。
ヴァン・ビューレンの支持者たちは、この偶然を選挙活動に利用しました。「O.K. Club」と呼ばれる政治組織も作られ、「O.K.」という文字が人々の目に触れる機会が増えていきます。

ただし、ここで注意したいのは、ヴァン・ビューレンが「OK」を作ったわけではないという点です。
「O.K.」が新聞で使われたのは1839年です。一方、大統領選挙は1840年でした。
つまり順番としては、
新聞の言葉遊びとして「O.K.」が登場 → 大統領選挙でさらに広まる
となります。
「OKの語源はOld Kinderhook」と説明されることもありますが、現在の有力な説では、Old Kinderhookは語源というより、すでに存在していた「OK」が広まるきっかけの一つと考えたほうが正確です。
「OK」は「Okay」の省略ではなかった
「OK」を見て、「Okayを短くした言葉なのでは?」と思う人もいるでしょう。
しかし、歴史をたどると順番は逆です。
先に使われていたのが「O.K.」で、そのあとに「okay」という書き方が登場しました。
つまり、
Okay → OK
ではなく、
O.K. → OK → okay
という流れです。
語源から整理すると、次のようになります。
all correct → oll korrect → O.K. → OK/okay
現在では「OK」も「okay」も普通に使われていますが、もともとの形は「O.K.」だったと考えられています。
今の「OK」はいろいろな意味で使える
現在の英語では、「OK」は非常に使い道の多い言葉になっています。
単純に「了解」という意味だけではありません。
たとえば、
“OK, I’ll do it.”
「わかった、やります」
というように、相手の話を理解したことを伝えられます。
一方、
“Is this OK?”
「これで大丈夫?」
のように、「問題ない」「良い」という意味でも使えます。
さらに、
“She gave me the OK.”
「彼女から許可をもらった」
という使い方もあります。
この場合の“the OK”は、「許可」「承認」という意味です。
さらに「OK」は動詞としても使えます。
“The manager OK’d the plan.”
「マネージャーはその計画を承認した」
この場合は、「OKを出す」「承認する」という意味になります。

『Merriam-Webster』では、「OK」は形容詞、副詞、名詞、動詞などとして掲載されています。『Dictionary.com』では、間投詞としての使い方も紹介されています。
たった2文字ですが、「了解」「大丈夫」「許可」「承認」など、文によってさまざまな役割をこなせる便利な言葉です。
「OK」の語源には別の説もあった
「OK」の語源については、昔からいろいろな説が出されてきました。
たとえば、アメリカ先住民のチョクトー語“okeh”から来たという説があります。
ほかにも、フランス語やスコットランドで使われていた表現との関係を指摘する説などがありました。
そのため、「OKは絶対にこの一つの説しかない」と昔から決まっていたわけではありません。
長い間、研究者の間でも議論が続いていました。
その中で重要になったのが、1839年の『Boston Morning Post』に残っていた“oll korrect”と「O.K.」の使用例です。
さらに、その翌年に行われた1840年の大統領選挙との時系列も調べられました。
こうした歴史的な資料をもとに、現在では『Merriam-Webster』などの主要な辞書でも、“all correct”をわざと間違えて書いた“oll korrect”から「O.K.」が生まれたという説が採用されています。
普段は何気なく使っている「OK」ですが、そのルーツをたどると、19世紀の新聞で流行していたジョークのような言葉遊びに行き着くのです。
まとめ
- 「OK」の語源は、“all correct”をわざと間違えて書いた“oll korrect”とする説が現在もっとも有力
- 「O.K.」の重要な初期使用例は、1839年3月23日付の『Boston Morning Post』で確認されている
- 1830年代後半のアメリカでは、正しい言葉をあえて間違ったスペルにする言葉遊びが流行していた
- 1840年のアメリカ大統領選では、“Old Kinderhook”の頭文字「O.K.」が使われ、「OK」の普及を後押しした
- 「OK」は「Okay」を短くした言葉ではなく、「O.K.」のほうが先に使われていた
- 現在の「OK」は、了解・大丈夫・許可・承認など、さまざまな意味で使われている
- 「OK」には複数の語源説があったが、現在は“oll korrect”説が主要な辞書で採用されている
今では世界中で通じる「OK」も、始まりをたどれば、19世紀のちょっとした言葉遊びに行き着きます。
身近すぎて気に留めない言葉ほど、実は面白い歴史を持っているのかもしれません。
参考文献
- Merriam-Webster「The Hilarious History of ‘OK’」
- Merriam-Webster「OK Definition & Meaning」
- Smithsonian Magazine「How One Man Discovered the Obscure Origins of the Word OK」
- Dictionary.com「OK Definition & Meaning」
- Online Etymology Dictionary「OK – Etymology, Origin & Meaning」
- ERIC「Historical Evidence on the Etymology of “OK.”」

