リュックには「豚の鼻」と呼ばれるパーツがある!?【普段の生活でも使える便利な機能】

街中を歩いていると、さまざまなデザインのリュックを見かけます。形や大きさは違っていても、複数の製品に共通して付いている不思議なパーツに気付くことがあります。

第131回雑学調査レポートでは、そんな「リュック」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

リュックに付いている「ひし形のパーツ」の名前はラッシュタブ

リュックの正面を見ると、小さなひし形のパーツが付いていることがあります。革やゴムのような素材で作られ、中央に縦長の穴が2本開いているのが代表的な形です。

このようなパーツは、一般に「ラッシュタブ」と呼ばれています。英語では「lash tab(ラッシュ・タブ)」と表記します。

「lash」には、ロープやひもなどを使って物を縛り付けるという意味があります。英語辞典の『Merriam-Webster』でも、「lash」にはロープなどで物を固定する意味があると説明されています。

つまり、ラッシュタブは簡単にいえば「リュックにひもやテープを通して、荷物を固定するための場所」です。

バッグやアウトドア用品を扱う『Thule』も、バックパックの表面にある正方形やひし形のパッチを「ラッシュタブ」と説明しています。穴にゴムコードや織りひもを通すことで、リュックの外側へ道具を取り付けられる仕組みです。

また、このパーツには「pig snout」という呼び方もあります。「pig snout」は豚の鼻を意味する言葉で、2本の穴が豚の鼻の穴のように見えることから生まれた呼び方です。

『The Independent』も、このひし形のパーツを「lash tab」または「pig snout」と紹介しています。

「豚の鼻」は正式な製品規格の名称というより、特徴的な見た目から付けられた通称と考えると分かりやすいでしょう。

ラッシュタブはリュックの外側に荷物を取り付けるために使う

ラッシュタブの基本的な役割は、リュックの外側へ装備を取り付けるための固定ポイントになることです。

ただし、2本の穴へ荷物を直接押し込んで使うわけではありません。

基本的には、ラッシュタブの穴へコードやウェビングを通して使います。ウェビングとは、バッグのストラップなどにも使われている平たい丈夫なテープです。

例えば、1本のコードをラッシュタブの2つの穴に通すと、リュックの外側に簡単な固定用ループを作れます。そのコードへ装備を結び付けたり、別のストラップと組み合わせたりすることで、バッグの外に荷物を保持できます。

『Thule』も、ラッシュタブについて、ゴムバンドや織りひもを通して道具を吊り下げるための穴と説明しています。

そのため、ラッシュタブは単なる飾りとして生まれたパーツではありません。もともとは、リュックだけでは持ち運びにくい装備を外側へ取り付けるための実用品です。

なぜリュックの外側に荷物を取り付ける必要があるのか

登山やキャンプでは、持っていく道具をすべてリュックの中へ入れられるとは限りません。

大きくて場所を取る物もあれば、歩いている途中ですぐに使いたい物もあります。また、泥や水で汚れた道具を、衣類や食べ物と同じ場所へ収納したくない場合もあります。

そこで役立つのが、リュックの外側へ道具を取り付ける仕組みです。

外付けする仕組みがあれば、リュック内部の収納スペースを使わずに追加の装備を持ち運べます。

『The Independent』では、ラッシュタブが追加の装備をコードで固定するために使われていたと説明しており、懐中電灯や水筒などを例として挙げています。

現在のアウトドア用リュックでも、考え方そのものは変わっていません。

例えば『Osprey』の「Kyte 48」には、バッグ上部のラッシュポイント、前面のデイジーチェーン、アイスツール用のループ、取り外し可能なスリーピングマット用ストラップなどが備えられています。

昔ながらのひし形のラッシュタブとは形が異なりますが、どれも「リュックの外側を使って装備を持ち運ぶ」という目的では共通しています。

2本の穴が開いている理由

ラッシュタブを見て、「なぜ穴が1本ではなく2本あるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。

2本の穴があることで、コードやウェビングをパーツの片側から入れ、もう片側へ通せます

例えば平たいウェビングを一方の穴から通して裏側へ回し、もう一方の穴から表側へ出せば、ラッシュタブを支点にしてストラップを取り付けられます。

コードを使う場合も、2つの穴を利用することで固定位置を作りやすくなります。

その先でコードを結んだり、別の固定パーツと組み合わせたりすれば、さまざまな装備を保持できます。

つまり、2本の細長い穴には見た目だけではなく、コードやテープを通して固定するという実用上の意味があります。

ラッシュタブだけで重い荷物を支えるわけではない

ラッシュタブの使い方を考えるうえで重要なのが、ひし形のパーツだけですべての重さを支えるとは限らないことです。

アウトドア用リュックでは、1つの装備を複数の場所で固定する設計も一般的です。

例えば長い道具を運ぶ場合、下側のループで道具を支え、上側のコードなどで動かないように固定する方法があります。これにより、道具が左右に大きく揺れにくくなります。

『Osprey』のアウトドア用リュックでも、アイスツール用ループや上部の固定機構など、装備を安定させるための複数の機能が採用されています。

そのため、ラッシュタブを見つけたからといって、そこだけに重量物を吊り下げる使い方が適しているとは限りません。

どの程度の荷物を取り付けられるかは、ラッシュタブの素材や縫い付け方、リュック全体の設計によって変わります。

現在は街で使うリュックにもラッシュタブが付いている

ラッシュタブはアウトドア向けの機能として知られていますが、現在では通勤や通学などに使うカジュアルなリュックにも広く取り入れられています。

特に茶色や黒の革調素材を使ったひし形のパーツは、リュックの正面で目立ちやすく、デザイン上のアクセントにもなります。

アウトドア用品を思わせるクラシックな雰囲気を出せるため、実際に装備を取り付ける予定がなくても、デザインの一部として採用される場合があります。

一方、現在販売されている製品の中にも、本当に装備を取り付けられるラッシュタブがあります。

例えば『Herschel Supply Co.』の「All Season Backpack 17L」には、TPU製のダイヤモンド型ラッシュタブが採用されています。

『Herschel Supply Co.』の商品説明では、このラッシュタブには面ファスナーがあり、装備を掛けるための機能として紹介されています。

つまり現在のラッシュタブには、大きく分けると「昔ながらの機能を残しているもの」と「アウトドアらしい見た目をデザインとして取り入れているもの」があります

外見だけではどの程度の強度があるのか判断できないため、実際に使用するときは製品の説明を確認することが重要です。

ラッシュタブは普段の生活でも活用できる

登山やキャンプへ行かない人でも、ラッシュタブを活用できる場面はあります。

例えば、対応するコードやストラップをラッシュタブへ通しておけば、軽い物を一時的に取り付ける場所として利用できます。

帽子のような軽量な物を保持したり、バッグの内部とは分けて持ち運びたい小物を取り付けたりする方法が考えられます。

カラビナを組み合わせる方法もあります。ただし、カラビナをラッシュタブの穴へ無理に直接掛けるより、コードやウェビングを通してから、その部分にカラビナを取り付けたほうが使いやすい場合があります。

重要なのは、自分のリュックに付いているラッシュタブがどのような使用方法を想定しているか確認することです。

街向けのリュックでは、外観を整えることを主な目的として付けられている可能性があります。そのようなパーツへ重い水筒や大きな荷物を取り付けると、ラッシュタブやリュック本体を傷める原因になります。

濡れた物や汚れた物を分けて運ぶときにも便利

リュックの外側へ荷物を取り付けられる利点は、収納スペースを増やせることだけではありません。

バッグの中へ入れたくない物を分けて運べることもメリットです。

例えば、雨で濡れた装備や多少汚れた道具を、着替えや電子機器などと同じ収納スペースへ入れたくない場面があります。

外付けできる仕組みがあれば、こうした物をバッグ内部から分離して運ぶことができます。

ただし、荷物がしっかり固定されていなければ、歩いている間に大きく揺れたり、落下したりする可能性があります。

特に人通りの多い場所や自転車で移動するときは、外付けした物が周囲へぶつからないように注意が必要です。

ラッシュタブとラッシュポイントは少し違う

リュックの外側へ装備を取り付ける場所には、「ラッシュタブ」のほかに「ラッシュポイント」という言葉もあります。

名前は似ていますが、必ずしも同じ形のパーツを指しているわけではありません。

『Thule』では、正方形やひし形のパッチ状になった部分を「ラッシュタブ」と呼んでいます。

一方、「ラッシュポイント」は、バッグ表面などに配置されたループ状の固定場所として説明されています。そこへゴムバンドや織りひもを通すことで、追加の装備を取り付けられます。

簡単に分けると、昔ながらのひし形や四角形のパッチが「ラッシュタブ」で、装備を固定するために設けられたループなどを広く「ラッシュポイント」と呼ぶ製品があります。

ただし、こうした名称の使い方はメーカーや製品によって異なる場合があります。

形だけで判断するより、それぞれのメーカーの商品説明を確認したほうが確実です。

デイジーチェーンやギアループも外付け用のパーツ

アウトドア用リュックには、ラッシュタブ以外にも外付け用のパーツがあります。

代表的なのが「デイジーチェーン」です。

デイジーチェーンは、細長いテープを複数箇所でリュックへ縫い付け、いくつもの小さなループを作った構造です。複数の取り付け位置を選べるため、装備に合わせて固定場所を変えられます。

「ギアループ」と呼ばれるループが設けられている製品もあります。用途に合ったコードやカラビナなどを使い、装備を取り付けるための場所です。

さらに、本格的な登山用リュックでは、トレッキングポール、アイスツール、スリーピングマットなど、特定の道具を固定するための専用パーツが用意されている場合があります。

『Osprey』の「Kyte 48」も、前面のデイジーチェーン、アイスツール用ループ、トレッキングポールを固定する機能、スリーピングマット用ストラップなど、複数の外付け機能を備えています。

昔ながらの小さなラッシュタブは、こうした「リュックの外側にも荷物を取り付ける」という考え方を、非常にシンプルな形で実現したパーツです。

ラッシュタブを使うときに気を付けたいこと

ラッシュタブを実際に使う場合、最も注意したいのが荷物の重さです。

革のように見えるラッシュタブでも、素材が本革とは限りません。ゴムや合成樹脂などで作られた製品もあります。

さらに、パーツそのものが丈夫でも、リュック本体への縫い付け部分が大きな荷重に対応しているとは限りません。

そのため、重量物や落下すると危険な物を取り付ける場合は、メーカーが想定している用途を確認することが重要です。

また、外側に取り付けた荷物は、木の枝やドアなどへ引っ掛かりやすくなります。電車やバスなど人が多い場所では、ほかの人へぶつかる可能性もあります。

軽い物であっても、落下すると困る鍵やスマートフォンなどを、簡単なコードだけで固定する使い方には注意が必要です。

ラッシュタブは便利な取り付けポイントですが、「何でも吊り下げられるフック」ではありません。リュックの設計と荷物の重さに合わせて使うことが大切です。

まとめ

  • リュックのひし形パーツは一般に「ラッシュタブ」と呼ばれ、外側に装備を固定するために使われる
  • ラッシュタブの2本の穴にはコードやウェビングを通し、荷物を取り付けるための固定場所を作る
  • 2本の穴が豚の鼻の穴に見えることから「pig snout」と呼ばれることもある
  • アウトドアでは大きな物やすぐ使いたい物、汚れた物などをリュックの外側に固定することがある
  • 現在は実用品としてだけでなく、アウトドアらしさを出すデザインとしてラッシュタブを採用するリュックもある
  • 普段使いでも軽い小物などの外付けに活用できるが、製品ごとに強度や想定用途が異なる
  • ラッシュタブ以外にも、ラッシュポイントやデイジーチェーンなど外付け用の仕組みが存在する
  • 重い物や落下すると危険な物を取り付ける場合は、メーカーが想定する用途や仕様を確認することが重要

街中で当たり前のように見かけるリュックですが、その細かなパーツまで見てみると、意外な意味や歴史があります。

次にリュックを見かけたときは、あのひし形が付いているか確かめてみるのも面白いでしょう。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この雑学をもっと広めよう!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次