反復横跳びは「ジャンプ」してはいけない!?【得意な人は○○が上手い】

学校の体力テストでおなじみの反復横跳び――あまりにも身近な種目であるため、深く考えたことがある人は少ないかもしれません。

しかしこの種目には、名前からは想像しにくい、少し意外なポイントがあります。

第40回雑学調査レポートでは、そんな「反復横跳び」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

「反復横跳び」という名前の落とし穴

反復横跳びは、多くの人が学校の体力テストで経験する種目です。

名前だけを見ると、「横にぴょんぴょん跳ぶ競技」のように思えます。しかし、文部科学省の新体力テスト実施要項では、反復横跳びの動きについて「サイドステップ」と説明されています。さらに驚くべきことに、左右のラインへ移動する際も、「ジャンプしてはいけない」とされています。

つまり、反復横跳びは「横に高く跳ぶ力」を調べるテストではありません。むしろ、できるだけ無駄に跳ばず、すばやく体を切り返す力を見るテストです。

ここが反復横跳びの面白いところだと言えるでしょう。名前には「跳び」と入っているにもかかわらず、点を伸ばすには「跳ばないほうがよい」のです。

測っているのは脚力だけではない

反復横跳びで測っている主な能力は、敏捷性です。

敏捷性とは、体をすばやく動かしたり、進む方向をすばやく変えたりする能力のことです。まっすぐ走る力とは少し異なります。右に動いたと思ったらすぐ中央へ戻り、そこから左へ動く、といったように、短い時間で何度も方向転換する力が必要になります。

スポーツでいえば、バスケットボールのディフェンス、テニスの左右への反応、サッカーで相手の動きに合わせる場面などに近い能力です。

反復横跳びは一見すると単純ですが、実際には「横移動」「止まる」「切り返す」「また動く」を20秒間くり返しています。そのため、ただ足が速いだけでは高得点になりにくい種目です。

点数は「何往復したか」ではなく「何本ラインを通過したか」

反復横跳びの点数の数え方も、少し勘違いされやすい部分です。

反復横跳びでは、中央ラインと左右のラインを使います。中央ラインをまたいで立ち、合図で右側のラインへサイドステップします。そのあと中央ラインへ戻り、さらに左側のラインへ移動します。

このとき、点数は「1往復で1点」ではありません。

それぞれのラインを通過するごとに1点が加算されます。たとえば、右、中央、左、中央と動けば、4点になります。

そのため、20秒間で何回「往復」したかというより、20秒間でどれだけ多くのラインを正しく通過できたかが記録になります。

ただし、外側のラインを踏まなかったり越えなかったりした場合、また中央ラインをまたがなかった場合は、点数になりません。速く動くだけでなく、ラインを正確に踏む、またぐ、越えることも重要です。

反復横跳びは「1メートルの横移動でどれだけ無駄をなくせるか」の勝負

学校の新体力テストでは、中央ラインの左右100センチメートルのところに平行ラインを引きます。つまり、中央から右のラインまで1メートル、中央から左のラインまで1メートルです。

この1メートルという距離が、反復横跳びを独特なテストにしています。

距離が短いため、全力で大きく動くと、すぐに行き過ぎてしまいます。かといって小さく動きすぎると、外側のラインを踏めなかったり越えられなかったりします。

高得点を取るには、ラインをギリギリ踏む、または越える程度に移動し、余計な上下動を減らす必要があります。つまり反復横跳びは「たくさん動いた人」が勝つというより、「必要な分だけ正確に動いた人」が有利な種目だと言えるでしょう。

ここで重要になるのが、体を上に浮かせすぎないことです。高く跳んでしまうと、着地までの時間がかかります。その分、次の切り返しが遅れます。

そのため、名前は「横跳び」でも、実際には「低く、速く、正確に横へ動く」ことが大切なのです。

20センチメートル広がるだけで記録の意味が変わる

さらに興味深いのは、ラインの間隔が変わると、記録の見方も変わってしまうことです。

文部科学省の新体力テストでは、ラインの間隔は中央から左右100センチメートルです。しかし、日本のトップアスリートの国際競技力向上を目的とした、スポーツ科学・医学・情報研究の中枢機関である『JISS(国立スポーツ科学センター)』のマニュアルによれば、反復横跳びを120センチメートル間隔で実施する場合もあるそうです。

たった20センチメートルの違いに見えるかもしれません。

しかし、反復横跳びでは、右、中央、左、中央と何度も動きます。1回ごとの距離が20センチメートル増えるだけでも、20秒間くり返せば、移動距離や切り返しの負担は大きく変わります。

『JISS』の資料でも、過去の文部省スポーツテストでは年齢に応じて100センチメートルと120センチメートルを併用していたこと、またJOC(日本オリンピック委員会)がオリンピック派遣選手を対象にした過去の測定では120センチメートルとしていたことが説明されています。そのため、過去の資料を参考にするときは、ライン間隔を確認する必要があるとされています。

これは、反復横跳びの記録を見るうえでかなり重要な雑学です。

「50点だった」「60点だった」という数字だけを見ても、ライン間隔が100センチメートルなのか120センチメートルなのかで意味が変わってきます。反復横跳びは、ルールが少し変わるだけで別のテストに近くなるのです。

「反復横跳びが得意な人」は、止まるのが上手い人

反復横跳びで目立つのは、左右にすばやく動く姿です。しかし本当に大事なのは、動いたあとにすぐ止まり、反対方向へ切り返すことです。

右へ移動したら、右方向の勢いを止めなければなりません。そして、すぐに左方向へ体を動かす必要があります。この切り返しが遅いと、どれだけ脚力があっても点数は伸びません。

つまり、反復横跳びが得意な人は、単に横へ速く動ける人ではありません。

「止まるのが上手い人」「切り返しが上手い人」「無駄に跳ばず、体を低く保てる人」――こういった人が、反復横跳びで高得点を出しやすいのです。

まとめ

  • 反復横跳びの動きは「サイドステップ」で、横に「ジャンプ」してはいけない
  • 反復横跳びで測っているのは敏捷性
  • 反復横跳びは1往復で1点ではなく、各ラインを踏む、または越えることで得点が加算される
  • 反復横跳びが得意な人は、「止まるのが上手い人」「切り返しが上手い人」「無駄に跳ばず、体を低く保てる人」

反復横跳びは、体力テストの中では比較的シンプルな種目です。

しかし、名前の印象とは違い、求められるのは大きく跳ぶ力ではなく、すばやく、正確に、無駄なく動く力です。

その意味で反復横跳びは、短時間で人の敏捷性や切り返しの能力を測る、よく考えられたテストだと言えるでしょう。

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