子どもに「どうして空は青いの?」と聞かれたら、すぐに答えられるでしょうか。よくある疑問のようでいて、きちんと説明しようとすると意外に難しいものです。
しかもこの疑問には、もう一歩踏み込むとさらに面白い話が待っています。
第39回雑学調査レポートでは、そんな「空」に関する雑学をご紹介していきます。
光の性質から生まれる疑問
晴れた日に空を見上げると、私たちはふつう「空は青い」と感じます。
しかし、光の性質だけを単純に考えると、少し不思議なことが起こります。太陽の光には、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫といった、さまざまな色の光が混ざっています。その光が地球の大気に入ると、空気中の小さな分子にぶつかり、あちこちの方向へ散らばります。
このとき、散らばりやすいのは波長の短い光です。赤い光は波長が長く、青い光や紫の光は、波長が短いため、青や紫の光ほど空気中で散らばりやすくなります。
ここで重要なのは、紫の光は青の光よりも波長が短いという点です。

すると、「それなら空は青ではなく、もっと波長の短い紫に見えるはずではないか」という疑問が出てきます。
しかし、私たちの目には空が紫ではなく青に見えます。
これは、紫の光がまったく存在しないからではありません。実際には紫の光も空気中に散らばっています。ただし、私たちがそれを「紫の空」として感じにくいのです。
その理由はいくつかあります。
理由①:人間の目は紫より青を感じ取りやすい
人間の目には、色を感じ取る細胞があります。これを「錐体細胞(すいたいさいぼう)」といいます。
人間の多くは、赤っぽい光、緑っぽい光、青っぽい光に反応しやすい3種類の錐体細胞を使って色を見ています。私たちが世界をカラフルに見られるのは、この3種類の反応を脳が組み合わせているためです。
紫の光は、可視光の中でもかなり端の方にあります。これは、人間の目が紫の光に対してあまり敏感ではないことを意味します。
そのため、大気中で紫の光が散らばっていても、私たちはそれを強く感じ取ることができないのです。一方で、青い光は目が比較的感じ取りやすいため、空全体は青っぽく見えます。
つまり、空の色は「大気がどの光を散らすか」だけで決まっているわけではありません。「人間の目がどの光を感じ取りやすいか」によっても変わります。
理由②:太陽光には紫より青の成分のほうが多く感じられやすい
太陽の光は、ふだん白っぽく見えます。しかし、白い光は何も色がない光ではありません。多くの色の光が混ざった結果、白っぽく見えているのです。
プリズムと呼ばれる、光を屈折、分散、反射させるために作られたガラスや水晶などの実験道具に太陽光を通すと、虹のように色が分かれます。これは、太陽光の中にさまざまな波長の光が含まれているためです。
その中には、もちろん紫の光も含まれています。しかし、もともと太陽光の中で紫が圧倒的に多いというわけでもありません。さらに、人間の目の感度が紫に対して低いことも加わると、散らばった紫の存在感は弱くなります。
理由③:大気の上のほうで紫の一部が吸収される
紫の光が見えにくい理由には、大気による吸収も関係しています。
大気中では、すべての光が同じように地表まで届くわけではありません。光の種類によっては、途中で吸収されたり、弱められたりします。
実際に『NOAA』も、紫の光の一部が上層の大気に吸収されると説明しています。
つまり、空に紫の要素はあるものの、私たちの目に届いて強く感じられる量は、結果として青のほうが目立つのです。
空の青さは「空気が青い」からではない
ここで誤解しやすいのは、「空気そのものが青いのか」という点です。
空気をコップに入れても青く見えることはありません。身の回りの空気が青く見えないのは、空気の量が少なすぎるためです。
しかし、空を見上げると、私たちの視線の先には非常に長い距離の大気があります。その長い大気層を通るうちに、太陽光の中の青い光があちこちへ散らばります。
その散らばった青い光が、空全体から私たちの目に入ってくるため、空は青く見えます。
つまり、空の青さは「空気が青い物質だから」ではなく、「太陽光が大気中で散らばるから」生まれる色なのです。
夕焼けが赤くなる仕組みも同じ
空の青さを理解すると、夕焼けが赤くなる理由もつながって見えてきます。
昼間、太陽が高い位置にあるとき、太陽光は比較的短い距離で大気を通って地表に届きます。このとき、青い光が大気中で散らばるため、空は青く見えます。
一方、夕方になると太陽は低い位置にあります。すると、太陽光は地表に届くまでに、昼間よりも長い距離の大気を通らなければなりません。
長い距離を進む間に、青や紫のような短い波長の光は、どんどん散らばっていきます。その結果、私たちの目にまっすぐ届きやすいのは、比較的散らばりにくい赤や橙の光になります。
これが、夕方の太陽やその周辺の空が赤っぽく見える仕組みです。
昼の青空と夕焼けは、まったく別の現象ではありません。どちらも、太陽光が大気中で散らばることによって起こる現象です。

雲が白い理由は青空とは少し違う
青空の仕組みを知ると、「雲も同じように青くならないのか」と思うかもしれません。
雲は水滴や氷の粒でできています。これらの粒は、空気の分子よりもずっと大きいものです。
空気分子のように非常に小さな粒は、青や紫などの短い波長を強く散らします。しかし、雲をつくる水滴や氷の粒は大きいため、光の色を比較的まんべんなく散らします。
太陽光のさまざまな色がまとめて散らばると、私たちには白っぽく見えます。そのため、雲は青ではなく白く見えることが多いのです。
ただし、雲が厚くなると、光が雲の中を通り抜けにくくなります。雨雲の下側が暗い灰色に見えるのは、これが理由になります。
まとめ
- 紫は青よりも光の波長が短く、大気中で散らばりやすい
- 空が紫に見えないのは、人間の目が紫の光に対してあまり敏感ではないこと、太陽光の中で紫が特別多いわけではないこと、紫の一部が上層の大気に吸収されることが関係している
- 身の回りの空気が青く見えないのは、空気の量が少なすぎるため
- 夕焼けの空が赤く見えるのは、太陽の位置が低く、より波長の長い赤が届きやすくなるため
- 雲が白く見えるのは、雲を形成する水滴や氷の粒が大きく、光の色を比較的まんべんなく散らすため
空が青く見えるのは、空そのものが青いからではありません。太陽の光、大気、そして人間の目がつくり出した見え方です。
見慣れた青空にも、これほど不思議な理由が隠れているのです。
☆「なるほど」と思ったら押してね!☆

