犬は「鼻」で個体を識別できる!?【人間の指紋と同じ】

みなさん、こんにちは!

犬の鼻は、ただ匂いを嗅ぐためのものではありません。もう少し詳しく観察してみると、その鼻は唯一無二のものかもしれないのです。

第16回雑学調査レポートでは、そんな「犬の鼻」に関する雑学をご紹介していきます。

早速見ていきましょう。

目次

犬の「鼻紋」

犬の鼻先を近くで見てみると、毛の生えていない黒っぽい部分に、しわや溝、粒状の模様などがあります。これは「鼻紋(びもん)」と呼ばれるものです。

なんとこの鼻紋は、個体ごとに異なる特徴を持っており、人間でいうところの指紋と同等の役割を果たす可能性があるとして注目を浴びています。

2021年の研究では、60頭・18犬種の犬の鼻画像を、約3~4か月おきに3回撮影し、合計180枚の画像が調べられました。その結果、犬の鼻紋は撮影時期が違っても変化が起こりにくく、個体ごとに固有であったと報告されています。さらに別のビーグル犬のデータを加えた研究でも、70頭・19犬種・278枚の画像で同じ結論となりました。

つまり、「犬の鼻紋が一頭ずつ異なる」という話は、少なくとも現在の研究ではかなり有力な説となりつつあります。

また、別の研究では、2つのビーグル犬の兄弟集団の合計10頭を対象に、生後2か月から11か月まで毎月鼻紋を撮影しました。その結果、鼻紋は生後2か月ごろには形成されており、少なくとも生後11か月までは変わらなかったことが分かっています。

犬の毛色や体格は成長によって大きく変わりますが、鼻の細かな模様は、かなり早い段階から”その犬らしさ”を持つと考えると、その特徴は非常に興味深いと言えるでしょう。

鼻紋を活用した識別

犬ごとによって鼻紋が異なるということは、人間の指紋と同様に、個体の識別が可能になるかもしれないということを意味します。とはいえ、このアイデア自体は特別新しいものでもありません。

研究論文としては、1926年にアメリカ獣医師のJG・ホーニングらが、犬の鼻紋の個体差に関する初期の学術的研究を発表しています。また、カナダのケネルクラブ(畜犬団体)1では、1938年から犬の鼻紋を身元確認の証拠として受け入れていた、という紹介もされています。

ただし、昔の「犬の鼻紋は個体識別に使える」という主張は、牛の鼻紋の研究に似ていたという影響も大きかったため、犬そのものを対象にした証拠は十分ではありませんでした。それが近年の研究によって、犬の鼻紋の特徴がより明らかになってきたということです。

そして現代においては、発展したテクノロジーと組み合わせることで、鼻紋の特徴をより活用できるようになっています。最近では、スマホやカメラで撮った犬の鼻画像をAIで解析することによって、個体識別に使う研究も進んでいるそうです。

こうした研究がさらに進めば、迷子犬の発見や野良犬の管理、ペット保険の本人確認なども容易になっていくでしょう。「迷子犬を見つけたら、鼻を撮影して飼い主を照合」といった仕組みも実現されるかもしれません。

マイクロチップの代わりになり得る

実は、犬を識別すること自体は、すでに実現されています。日本では2022年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬猫へのマイクロチップの装着が義務化されています。

しかし、マイクロチップは動物の体内に埋め込まなければならなかったり、読み取りに専用のリーダーが必要になるといったデメリットがあります。

一方、鼻紋による識別が実現すれば、動物の体内に何かを入れる必要は無く、理論上ではスマホ撮影で読み取ることができるのです。実際に2024年に行われた研究でも、鼻紋は埋め込み型のチップより安全な識別手段になり得ると発表されています。

当然ながら、鼻紋の識別でも運用上の課題は残っています。犬が動いてしまう、鼻が濡れて光る、斜めから撮ってしまう、ピントが合わない、暗い場所で撮る、といった条件では認識精度が落ちる可能性があるためです。

とはいえ、それでも鼻紋の識別がマイクロチップに比べて、動物にとっても、私たちにとってもメリットがあることを考えれば、ぜひ実用化には期待したいところです。

鼻紋を観察する際のポイント

当記事によって、鼻紋に少し興味を持った方がいるかもしれませんので、観察する際のポイントもまとめます。

犬の鼻先を見ると、鼻の中央の縦線の周辺、左右の鼻孔の周り、鼻先の上部にかけて模様が複雑に入り組んでいます。この部分が、研究で注目される「識別に使いやすい領域」です。

ただし、観察するために無理に鼻を押さえたり、インクをつけたりする必要はありません。明るい場所でそっと写真を撮る程度でも十分確認できるため、犬が嫌がるような行為は控えるようにしましょう。

まとめ

  • 犬の鼻先にある鼻紋は、個体ごとに異なる
  • 鼻紋を活用することで、個体を識別できる可能性がある
  • 鼻紋はマイクロチップよりも安全な識別手段となり得る
  • 明るい場所で写真を撮るだけでも鼻紋は確認できる

犬の鼻紋は、見た目としては小さな模様かもしれませんが、実は一頭ごとに異なる可能性が高い模様だったということです。

もし愛犬が窓ガラスに鼻の跡をつけたりしたら、それは”世界に一つだけのサイン”なのかもしれませんね。

それでは次回の雑学調査レポートもお楽しみに!

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  1. ケネルクラブ=純粋犬種の認定や犬種標準の指定、血統証明書の発行、ドッグショーの開催、愛犬飼育の指導などを行う「犬の登録・保護団体のこと ↩︎

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