エッフェル塔は夏になると少し高くなる!?【42年間にわたって世界一高かった塔の秘密】

フランスを代表する観光名所といえば、パリにそびえるエッフェル塔を思い浮かべる人も多いでしょう。あまりにも有名な建造物ですが、実はその姿には、意外と知られていない面白い特徴があります。

第105回雑学調査レポートでは、そんな「フランス」に関する雑学をご紹介していきます。

目次

エッフェル塔は暑くなると本当に少し高くなる

フランス・パリのシンボルとして知られるエッフェル塔。高さ約330メートルの巨大な塔ですが、実は一年中まったく同じ高さではありません。

暑い日には金属がわずかに膨らむため、エッフェル塔もほんの少しだけ高くなります。反対に、寒い時期には金属が縮み、高さも少し低くなります。

『The OFFICIAL Eiffel Tower website』によると、夏の暑さによって高くなる量は数ミリメートルほどです。冬には逆に数ミリメートル低くなることがあります。人間が見ただけでは気付けないほど小さな変化ですが、巨大なエッフェル塔も気温に合わせて伸び縮みしているのです。

現在のエッフェル塔は、頂上に設置されたアンテナを含めて約330メートルあります。金属部分だけでも重さは約7,300トンです。18,038個の金属部品が使われ、それらを固定するために約250万本ものリベットが使われています。

これほど巨大で重い建造物でも、気温の影響から完全に逃れることはできません。

なぜ暑くなると高くなる?原因は「熱膨張」

エッフェル塔が暑い日に少し高くなるのは、「熱膨張」という現象が起こるためです。

熱膨張とは、物質が温められることで大きくなる現象です。金属の場合も、温度が上がるとわずかに膨張し、温度が下がると収縮します。

エッフェル塔に使われているのは、英語で「puddled iron」と呼ばれる鉄です。日本語では「錬鉄(れんてつ)」などと説明されることがあります。鉄に含まれる余分な炭素を減らす「パドル法」と呼ばれる方法で作られたもので、エッフェル塔の主要な金属構造に使用されています。

この鉄も普通の金属と同じように、温度が高くなれば膨張します。

一つの部品だけを見れば、その変化は非常に小さなものです。しかし、エッフェル塔は高さ300メートルを超える巨大な構造物です。そのため塔全体で見ると、熱による変化が高さにも現れます。

もちろん、エッフェル塔そのものが成長しているわけではありません。暑いときに鉄が膨らみ、寒いときに縮むという物理現象によって、高さが少し変わっているだけです。

「夏になると15cm伸びる」は少し違う

エッフェル塔の雑学として、「夏になると15センチメートル伸びる」と紹介されることがあります。

かなりインパクトのある話ですが、正確には少し違います。

『The OFFICIAL Eiffel Tower website』によると、暑さによる熱膨張で垂直方向に高くなる量は数ミリメートル程度です。15センチメートルも上に伸びるわけではありません。

では、「約15センチメートル」という数字はどこから出てきたのでしょうか。

関係しているのが太陽の光です。

エッフェル塔には4つの面がありますが、太陽の光がすべての面を同じように温めるわけではありません。太陽に照らされている側は温まりやすく、反対側とは温度に差ができます。

すると、より強く温められた側の鉄が大きく膨張します。片側だけが少し大きく膨らむため、塔全体が太陽とは反対側へわずかに傾くのです。

さらに、太陽は朝から夕方まで同じ場所にあるわけではありません。時間が進むにつれて太陽の位置が変わり、強く温められる面も変化します。

その結果、晴れた日にはエッフェル塔の頂上部分が少しずつ動き、1日の間に直径約15センチメートルの円に近い軌跡を描くことがあります。

つまり、「数ミリメートル」と「約15センチメートル」は別の話です。

「数ミリメートル」は、暑さによって塔全体が膨張したときの高さの変化です。

一方の「約15センチメートル」は、太陽による温度差で塔がわずかに傾き、頂上部分が水平方向に動く範囲に関係しています。

「エッフェル塔は夏になると15センチメートル高くなる」という意味ではありません。

冬のエッフェル塔は逆に少し低くなる

夏に鉄が膨張するのであれば、冬には反対の現象が起こります。

気温が下がると鉄が収縮するため、エッフェル塔も数ミリメートルほど低くなる場合があります。『The OFFICIAL Eiffel Tower website』でも、寒い冬には金属構造が収縮すると説明されています。

ただし、夏と冬にエッフェル塔を訪れて写真を撮っても、高さの違いを見つけるのはほぼ不可能です。

数ミリメートルという変化は、約330メートルあるエッフェル塔全体から考えるとごくわずかだからです。

公式情報でも、こうした変化は訪問者や観察者には分からないほど小さく、塔の強度にも影響しないと説明されています。

巨大なエッフェル塔が毎年少しずつ伸びたり縮んだりしていると考えると不思議ですが、建造物としてはごく自然な現象なのです。

エッフェル塔は風が吹いてもわずかに動く

エッフェル塔を動かすのは、暑さや寒さだけではありません。

強い風が吹くと、エッフェル塔はわずかに揺れたり振動したりします。こちらも異常が起きているわけではなく、巨大な塔として想定されている動きです。

そもそも、エッフェル塔の独特な形は見た目だけを考えて決められたものではありません。

塔の設計には、風から受ける力も考慮されています。『The OFFICIAL Eiffel Tower website』によると、エッフェルの会社には金属製の高架橋などを設計してきた経験があり、その技術が塔の設計にも生かされました。曲線を使った形状によって、風の抵抗をできるだけ抑えられるよう考えられています。

高さ300メートル級の鉄塔を19世紀に建てるとなれば、「立てること」だけを考えるわけにはいきません。完成後に風を受け続けても耐えられる構造にする必要がありました。

パリでエッフェル塔を見ると、美しい曲線に目が行きます。その形には、巨大な建造物を支えるための工学的な意味もあるのです。

エッフェル塔は約1万トンもある

エッフェル塔が温度や風によって動くと聞くと、細くて軽い建造物のように感じるかもしれません。

実際にはかなりの重量があります。

『The OFFICIAL Eiffel Tower website』によると、金属骨組みだけで約7,300トンあり、塔全体では約10,100トンです。使われている金属部品は18,038個、リベットは約250万本に達します。

しかも、この巨大な塔が完成したのは1889年です。

エッフェル塔に使われた部品は、工場で細かく設計、加工されたうえで建設現場へ運ばれました。現場では、それらを組み合わせて巨大な塔を作り上げていきました。

現在のようなコンピューターも大型の現代的な建設機械もなかった時代に、これだけ多くの部品を正確に組み合わせたことになります。

エッフェル塔は最初から330mだったわけではない

現在のエッフェル塔は約330メートルありますが、1889年に完成したときから同じ高さだったわけではありません。

完成当時の高さは312メートルでした。

その後、エッフェル塔はラジオやテレビなどの通信にも利用されるようになり、頂上にアンテナが追加されました。

『The OFFICIAL Eiffel Tower website』によると、1957年、2000年、2022年などにアンテナが追加され、現在は約330メートルとなっています。2022年には新しいデジタルラジオ用アンテナが設置され、約6メートル高くなりました。

つまり、エッフェル塔には2種類の「高さが変わる話」があります。

一つは、アンテナが追加されたことで長い年月をかけて実際の高さが変わってきたこと。

もう一つは、気温によって金属が伸び縮みし、毎年わずかに高さが変化していることです。

同じ「高さが変わる」という話でも、理由はまったく違います。

エッフェル塔は万国博覧会のために建てられた

エッフェル塔が建設されたきっかけは、1889年にパリで開催された万国博覧会でした。

この万国博覧会はフランス革命100周年にあたる年に開催され、エッフェル塔は会場を代表する巨大建造物として計画されました。

目標とされた高さは300メートルです。

今なら300メートルを超える高層建築物は世界各地にありますが、19世紀としては前例のない規模でした。

塔のアイデアには、ギュスターヴ・エッフェルの会社に所属していた技師モーリス・ケクランとエミール・ヌーギエが関わり、建築家ステファン・ソーヴェストルも設計に参加しています。最終的にエッフェルのプロジェクトが採用され、建設へ進みました。

工事が始まったのは1887年1月26日です。そして1889年3月31日に完成しました。

建設期間はわずか2年2か月と5日です。

高さ300メートル級の巨大な鉄塔を19世紀に約2年で完成させたことから、当時としては非常に大きな技術的成果でした。

完成したエッフェル塔は世界一高い塔になった

1889年に完成したエッフェル塔は、高さ312メートルで世界一高い塔となりました。

この記録は1931年まで続きます。『The OFFICIAL Eiffel Tower website』によると、1931年に高さ381メートルのエンパイア・ステート・ビルディングが完成したことで、世界一の座を明け渡しました。

つまり、エッフェル塔は42年間にわたって世界最高の高さを誇っていたことになります。

現在ではエッフェル塔より高い建物が数多く存在しますが、1889年当時の技術で300メートルを超える建造物を完成させたこと自体が画期的でした。

しかも、その塔が130年以上たった現在もパリの中心的なランドマークとして残っています。

フランス旅行で話すなら「15cm」の意味に注意

エッフェル塔を実際に訪れても、熱膨張による数ミリメートルの高さの変化を肉眼で確認することはできません。

頂上が動く様子も、地上から見て分かるほど大きなものではありません。

それでも、「目の前にあるエッフェル塔が太陽の熱でほんの少し動いている」と知っていると、巨大な鉄塔の見え方が少し変わります。

旅行中の雑学として話すなら、「エッフェル塔は暑くなると鉄が膨張して数ミリメートル高くなる。さらに太陽が当たる面の温度差によって少し傾き、頂上が直径約15センチメートルの円に近い動きをすることがある」と覚えておくと正確です。

「夏になると15センチメートル高くなる」ではない、という点だけ押さえておけば、ちょっと詳しいエッフェル塔の雑学として使えます。

まとめ

  • エッフェル塔は暑くなると鉄が膨張し、数ミリメートルほど高くなる
  • 冬は鉄が収縮するため、エッフェル塔の高さも数ミリメートルほど低くなる
  • 「約15cm」は高さの変化ではなく、太陽熱によって頂上部分が水平方向に動く範囲
  • エッフェル塔は太陽が当たる面の温度差によって、太陽とは反対方向へわずかに傾く
  • 強い風が吹くとエッフェル塔はわずかに揺れたり振動したりする
  • エッフェル塔の金属骨組みは約7,300トン、塔全体では約10,100トンある
  • エッフェル塔は完成当時の312メートルから、アンテナの追加によって現在は約330メートルになっている
  • エッフェル塔は1889年の万国博覧会のために建設され、工期は2年2か月と5日だった
  • 完成したエッフェル塔は当時世界一高い塔となり、その記録を1931年まで維持した

世界的に有名なエッフェル塔にも、見た目だけでは分からない意外な特徴が隠されています。

フランスを訪れる機会があれば、こうした雑学を思い出しながら眺めてみると、いつもとは少し違った楽しみ方ができるかもしれません。

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